3バンク型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 04:40 UTC 版)
古典的なW型エンジンは、3つのシリンダーバンクにより1本のクランクシャフトを駆動する。 この形式で最初に登場したのはW型3気筒であり、1906年にアレッサンドロ・アンザーニ(英語版)がオートバイ用エンジンとして開発したものである。このエンジンは後にルイ・ブレリオの飛行機「ブレリオ XI」に搭載され、1909年にイギリス海峡横断飛行に成功した。後にアンザーニはこのエンジンを更に改良し、各シリンダーを120度間隔に配置した星型エンジンの原型であるAnzani-Y3エンジンを開発した。 1917年にネイピア・アンド・サンは最初の3バンク・W型12気筒エンジンであるネイピア ライオンを開発、シュナイダー・トロフィー・レースで優勝した機にも使用された。ロレーヌ(英語版)は1920年代に450馬力の「12Ed」エンジンと600馬力の「18Ka」エンジンを航空機向けに製作、同時期にイゾッタ=フラスキーニ(英語版)もW型18気筒で820馬力の「Asso 750」エンジンと1,100馬力の「Asso 1000」エンジンを開発した。 このような3バンクのW型エンジンは、多気筒化した場合に中央バンクの吸排気系の取りまわしが困難となるとともに冷却性の問題もあり、多気筒化は放射状に気筒を配列した星型エンジン、もしくはそれの二重(複列)化、または、水冷V型エンジンが主流となった。 第二次世界大戦後もレース用や試作車での採用例はあるものの成功したと言えるものはなく、例えば1990年にはライフが自製のW型12気筒エンジンを使用してフォーミュラ1(F1)に出場したが、12戦全戦で予備予選落ちしている。その後はアウディが3バンクのW型12気筒エンジンを開発するも中途で断念。フォルクスワーゲンもブガッティの試作車両向けに3バンクのW型18気筒エンジンを開発し、実際にブガッティ・EB 118とブガッティ・EB 218に搭載したが、構造が複雑すぎて信頼性に欠ける事が露見し、結局市販されないまま終わっている。
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