2020年施行の改正健康増進法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 10:37 UTC 版)
「健康増進法」の記事における「2020年施行の改正健康増進法」の解説
厚生労働省は2016年(平成28年)、東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙対策を推進するため、全面禁煙を原則とする法的強制力をもった制度案をまとめた。当初案は、医療機関や学校は敷地内禁煙。官公庁やスタジアムは建物内禁煙。飲食店や事業所は建物内禁煙だが、喫煙室の設置は容認するという内容であった。 しかし、2017年(平成29年)2月の自民党厚生労働部会では、「非現実的だ」「五輪のためなら東京だけでやれ」と反対論が噴出。同年3月、厚生労働省はやむなくスナックやバーなど延床面積30平方メートル以下の小規模飲食店を原則禁煙の例外とする修正案を発表したものの、自民党たばこ議員連盟(たばこ議連)や超党派の愛煙家議員連盟「もくもく会」を中心とした反対派議員がこの修正案を断固拒否。厚生労働大臣の塩崎恭久は、職場の会合などで望まない受動喫煙(いわゆる「イヤイヤ受動喫煙」)を強いられる事例があることや、大学生・高校生もいるアルバイトや従業員の受動喫煙を防げない問題点を挙げ、分煙では不十分であることを説明したが、反対派議員は「分煙・喫煙」の表示を義務化すれば事足りるとして譲らなかった。結局、閣議決定ができない状態が続いたまま、第193回国会では健康増進法改正案の提出さえできずに自民党内だけで議論が終了した。 その後の内閣改造において、厚生労働大臣が財務省出身の加藤勝信に代わったことにより状況は一変。翌2018年(平成30年)7月の第196回国会において、原則禁煙の除外範囲を客先面積100平方メートル以下に拡大するなど、前回の案より大幅に規制緩和された法案が成立した。緩和後の法案の場合、55%程度の飲食店は規制の対象外となる。 2019年(令和元年)7月1日から一部施行され、学校や病院、行政機関の敷地などが原則禁煙となり、2020年(令和2年)4月1日の全面施行により、飲食店や職場などの屋内が原則禁煙となった。なお、東京都や千葉市など、受動喫煙防止条例を制定して健康増進法より厳しい規制を設けている自治体もある。
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