2『生きながらえるもの』
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「ラヴクラフトとダーレスの合作作品」の記事における「2『生きながらえるもの』」の解説
『生きながらえるもの』(いきながらえるもの、原題:英: The Survivor)。『ウィアード・テールズ』1954年7月号に掲載された。1957年にはアーカム・ハウスから単行本の表題作になり出版されている。邦訳はクト6「生きながらえるもの」岩村光博訳と、真ク1&新ク4「爬虫類館の相続人」那智史郎訳。 ラヴクラフトのマッドサイエンティスト作品の、ダーレスによるアレンジである。ラヴクラフトはクトゥルフと恐竜を(作品外のジョークで)関連付けたことがある。作中時1930年、執筆時1954年であり、恐竜(古代爬虫類)や医学の知識は執筆当時のものである。合作群の中では、ラヴクラフトの構想メモが比較的判明している。 作中では、3つの神話(古代エジプトの動物崇拝、ヴードゥー伝承、クトゥルフ神話)が言及され、医科学からのアプローチが行われている。古代エジプトの動物崇拝テーマはロバート・ブロックが古代の魔術で題材とした。ヴ―ドゥとクトゥルフ神話については、医師が北米全域の長命の人物たちのデータという形で調査が行われており、サンプルにはマーシュ家などインスマスの四名家も含まれている。 東雅夫は「プロヴィデンスの洋館を舞台に、人獣混淆の悪夢をくりひろげる本編は、ラヴクラフト&ダーレス名義の作品中でも一、二をあらそう佳品といえるだろう。クトゥルー神話と爬虫類――恐竜とを結びつける疑似科学的アイディアは、おそらくダーレスのオリジナルと思われるが、ライダー怪人を髣髴させる怪物の造形ともども、なかなかに魅力的である」と解説している。那智史郎もまた、ダーレスのラヴクラフト補作の中では『暗黒の儀式』と並んで最も出来が良いと高評価している。
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