1963年イタリアグランプリとは? わかりやすく解説

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1963年イタリアグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 05:22 UTC 版)

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 1963年イタリアグランプリ
レース詳細
1963年F1世界選手権全10戦の第7戦
モンツァ・サーキット(1957-1971)
日程 1963年9月8日
正式名称 XXXIV Gran Premio d'Italia
開催地 モンツァ・サーキット
イタリア モンツァ
コース 恒久的レース施設
コース長 5.750 km (3.573 mi)
レース距離 86周 494.500 km (307.268 mi)
決勝日天候 晴 (ドライ)
ポールポジション
ドライバー フェラーリ
タイム 1:37.3
ファステストラップ
ドライバー ジム・クラーク ロータス-クライマックス
タイム 1:38.9 (60周目)
決勝順位
優勝 ロータス-クライマックス
2位 BRM
3位 クーパー-クライマックス

1963年イタリアグランプリ (1963 Italian Grand Prix) は、1963年のF1世界選手権第7戦として、1963年9月8日モンツァ・サーキットで開催された。

本レースを制したジム・クラークが、初めてのドライバーズチャンピオンを決めた。また、スクーデリア・フェラーリが100戦目の出走[1]を達成したレースでもある。

レース概要

当初使用する予定だったロードコースとオーバルの複合コース

レース主催者は当初、1961年まで使用していたオーバルとの複合コースで開催する予定だったが、金曜日の午後に従来のロードコースのみで開催することを決めた[2]。なお、F1世界選手権でレース距離が300マイル(約482.803km)を超えたのは本レースが最後である。

ホームグランプリとなるフェラーリは、セミモノコック仕様の156 Aero(通称:アエロ)を投入し、エースのジョン・サーティースに与えた。開発中だったV8エンジンも本レースからデビューさせる予定だったが間に合わず、従来のV6エンジンを使用するも、サーティースがポールポジションを獲得した[3]。サーティースのチームメイトは前戦ドイツGPの事故で負傷したウィリー・メレスに代わり、前年に解雇したロレンツォ・バンディーニを呼び戻した[4]ロータスも非選手権レースのメディトレニアンGP英語版で負傷したトレバー・テイラーに代わって、マイク・スペンスを起用した[5][2]

サーティースはレース序盤、グラハム・ヒルに先行されるが4周目に首位の座を取り戻した。しかし、17周目にエンジントラブルでリタイアに終わった。以後、ジム・クラーク、グラハム・ヒル、ダン・ガーニーの三つ巴の戦いがレース中盤まで続く。この中からまずグラハム・ヒルがクラッチに問題を抱えて後退し、続いてガーニーも燃料供給に問題を抱えてマシンを止めた。これでクラークはペースを緩めていき、最終的に2位のリッチー・ギンサーに1分半の差を付けて優勝した[2]。クラークはシーズン5勝目を挙げ、3戦を残して初のドライバーズチャンピオンを決めるとともに、ロータスに初のコンストラクターズチャンピオンをもたらした。最終ラップでジャック・ブラバムヨアキム・ボニエ、イネス・アイルランドが相次いでマシントラブルに見舞われた中、ブルース・マクラーレンが3位表彰台を獲得した[2]

エントリーリスト

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン
スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 2 ロレンツォ・バンディーニ フェラーリ 156/63 フェラーリ Tipo178 1.5L V6
4 ジョン・サーティース 156 Aero
チーム・ロータス 6 マイク・スペンス ロータス 25 クライマックス FWMV 1.5L V8
8 ジム・クラーク
オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 10 リッチー・ギンサー BRM P57 BRM P56 1.5L V8
12 グラハム・ヒル P61
オートモビリ・ツーリズモ・エ・スポート 14 ジャンカルロ・バゲッティ ATS 100 ATS 100 1.5L V8
16 フィル・ヒル
クーパー・カー・カンパニー 18 ブルース・マクラーレン クーパー T66 クライマックス FWMV 1.5L V8
20 トニー・マグス
ブラバム・レーシング・オーガニゼーション 22 ジャック・ブラバム ブラバム BT3 クライマックス FWMV 1.5L V8
24 ダン・ガーニー BT7
エキュリー・マールスベルゲン 26 ゲルハルト・ミッター 1 ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
28 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール
ブリティッシュ・レーシング・パートナーシップ 30 ジム・ホール ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
32 イネス・アイルランド BRP Mk1
シロッコ・レーシング・カーズ 34 トニー・セッテンバー シロッコ SP BRM P56 1.5L V8
36 イアン・バージェス 2
レグ・パーネル・レーシング 38 クリス・エイモン ローラ Mk4A クライマックス FWMV 1.5L V8
40 マイク・ヘイルウッド Mk4
ティム・パーネル 42 マステン・グレゴリー ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
スクーデリア・セッテコリ 44 ロベルト・リッピ デ・トマソ F1 フェラーリ Tipo178 1.5L V6
アンドレ・ピレット 46 アンドレ・ピレット ロータス 18/21 クライマックス FPF 1.5L L4
DWレーシング・エンタープライゼス 48 ボブ・アンダーソン ローラ Mk4 クライマックス FWMV 1.5L V8
イアン・ラビー・レーシング 50 イアン・ラビー ギルビー 62 BRM P56 1.5L V8
ライン=ルール・レーシングチーム 52 ギュンター・ザイフェルト 1 ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
シフェール・レーシングチーム 54 ジョー・シフェール ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
カウント・G.ヴォルピ 56 カルロ・アバーテ 1 ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム 58 ヨアキム・ボニエ クーパー T66 クライマックス FWMV 1.5L V8
ガエターノ・スタルラッバ 60 ガエターノ・スタルラッバ 1 ロータス 18 クライマックス FPF 1.5L L4
スクーデリア・セントロ・スッド 62 エルネスト・ブランビラ クーパー T53 マセラティ 6-1500 1.5L L4
64 マリオ・カブラル T60 クライマックス FWMV 1.5L V8
66 モーリス・トランティニアン BRM P57 BRM P56 1.5L V8
ソース:[6]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - エントリーしたが出場せず
  • ^2 - マシンが準備できず

結果

予選

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 4 ジョン・サーティース フェラーリ 1:37.3 1
2 12 グラハム・ヒル BRM 1:38.5 +1.2 2
3 8 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 1:39.0 +1.7 3
4 10 リッチー・ギンサー BRM 1:39.2 +1.9 4
5 24 ダン・ガーニー ブラバム-クライマックス 1:39.3 +2.0 5
6 2 ロレンツォ・バンディーニ フェラーリ 1:40.1 +2.8 6
7 22 ジャック・ブラバム ブラバム-クライマックス 1:40.4 +3.1 7
8 18 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 1:40.5 +3.2 8
9 6 マイク・スペンス ロータス-クライマックス 1:40.9 +3.6 9
10 32 イネス・アイルランド BRP-BRM 1:41.6 +4.3 10
11 58 ヨアキム・ボニエ クーパー-クライマックス 1:41.9 +4.6 11
12 42 マステン・グレゴリー ロータス-BRM 1:42.1 +4.8 12
13 20 トニー・マグス クーパー-クライマックス 1:42.2 +4.9 13
14 16 フィル・ヒル ATS 1:42.7 +5.4 14
15 38 クリス・エイモン ローラ-クライマックス 1:42.9 +5.6 DNS 1
16 54 ジョー・シフェール ロータス-BRM 1:43.3 +6.0 15
17 30 ジム・ホール ロータス-BRM 1:43.8 +6.5 16
18 40 マイク・ヘイルウッド ローラ-クライマックス 1:43.9 +6.6 17
19 48 ボブ・アンダーソン ローラ-クライマックス 1:44.2 +6.9 18
20 66 モーリス・トランティニアン BRM 1:44.4 +7.1 19
21 64 マリオ・カブラル クーパー-クライマックス 1:44.8 +7.5 DNQ
22 50 イアン・ラビー ギルビー-BRM 1:45.1 +7.8 DNQ
23 34 トニー・セッテンバー シロッコ-BRM 1:45.9 +8.6 DNQ
24 28 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 1:46.4 +9.1 DNQ
25 14 ジャンカルロ・バゲッティ ATS 1:46.8 +9.5 20 2
26 62 エルネスト・ブランビラ クーパー-マセラティ 1:50.3 +13.0 DNQ
27 46 アンドレ・ピレット ロータス-クライマックス 1:53.7 +16.4 DNQ
28 44 ロベルト・リッピ デ・トマソ-フェラーリ 2:03.9 +26.6 DNQ
ソース:[7]
追記
  • 上位20台が決勝進出
  • ^1 - アクシデントにより決勝出走を見合わせた
  • ^2 - エイモンの決勝欠場とカブラルの辞退により、繰り上がりで決勝進出

決勝

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 8 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 86 2:24:19.6 3 9
2 10 リッチー・ギンサー BRM 86 +1:35.0 4 6
3 18 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 85 +1 Lap 8 4
4 32 イネス・アイルランド BRP-BRM 84 エンジン 10 3
5 22 ジャック・ブラバム ブラバム-クライマックス 84 +2 Laps 7 2
6 20 トニー・マグス クーパー-クライマックス 84 +2 Laps 13 1
7 58 ヨアキム・ボニエ クーパー-クライマックス 84 +2 Laps 11
8 30 ジム・ホール ロータス-BRM 84 +2 Laps 16
9 66 モーリス・トランティニアン BRM 83 +3 Laps 19
10 40 マイク・ヘイルウッド ローラ-クライマックス 82 +4 Laps 17
11 16 フィル・ヒル ATS 79 +7 Laps 14
12 48 ボブ・アンダーソン ローラ-クライマックス 79 +7 Laps 18
13 6 マイク・スペンス ロータス-クライマックス 73 油圧 9
14 24 ダン・ガーニー ブラバム-クライマックス 64 燃料システム 5
15 14 ジャンカルロ・バゲッティ ATS 63 +23 Laps 20
16 12 グラハム・ヒル BRM 59 クラッチ 2
Ret 54 ジョー・シフェール ロータス-BRM 40 油圧 15
Ret 2 ロレンツォ・バンディーニ フェラーリ 37 ギアボックス 6
Ret 42 マステン・グレゴリー ロータス-BRM 26 エンジン 12
Ret 4 ジョン・サーティース フェラーリ 16 エンジン 1
DNS 38 クリス・エイモン ローラ-クライマックス 予選でアクシデント
DNQ 64 マリオ・カブラル クーパー-クライマックス 予選不通過
DNQ 50 イアン・ラビー ギルビー-BRM 予選不通過
DNQ 34 トニー・セッテンバー シロッコ-BRM 予選不通過
DNQ 28 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 予選不通過
DNQ 62 エルネスト・ブランビラ クーパー-マセラティ 予選不通過
DNQ 46 アンドレ・ピレット ロータス-クライマックス 予選不通過
DNQ 44 ロベルト・リッピ デ・トマソ-フェラーリ 予選不通過
WD 26 ゲルハルト・ミッター ポルシェ
WD 36 イアン・バージェス シロッコ-BRM マシンが準備できず
WD 52 ギュンター・ザイフェルト ロータス-BRM
WD 56 カルロ・アバーテ ポルシェ
WD 60 ガエターノ・スタルラッバ ロータス-マセラティ
ソース:[8]
ラップリーダー[9]

第7戦終了時点のランキング

  • : トップ5のみ表示。ベスト6戦のみがカウントされる。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ プライベーターのみ出走した1950年フランスグランプリは、チームの参加には含まない。
  2. ^ a b c d Italian GP, 1963”. grandprix.com. 2018年11月20日閲覧。
  3. ^ (林信次 1997, p. 58,60,67)
  4. ^ (林信次 1997, p. 59,67)
  5. ^ (林信次 1997, p. 66)
  6. ^ Italy 1963 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年11月13日閲覧。
  7. ^ Italy 1963 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年11月12日閲覧。
  8. ^ 1963 Italian Grand Prix”. formula1.com. 2014年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月20日閲覧。
  9. ^ Italy 1963 - Laps led”. statsf1.com. 2018年11月12日閲覧。

参照文献

外部リンク

前戦
1963年ドイツグランプリ
FIA F1世界選手権
1963年シーズン
次戦
1963年アメリカグランプリ
前回開催
1962年イタリアグランプリ
イタリアグランプリ 次回開催
1964年イタリアグランプリ



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