1960年フランスグランプリとは? わかりやすく解説

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1960年フランスグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 10:14 UTC 版)

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 1960年フランスグランプリ
レース詳細
1960年F1世界選手権全10戦の第{{{Race_No}}}戦
Reims layout
日程 1960年シーズン第6戦
決勝開催日 7月3日
開催地 ランス・サーキット
フランスランス
コース Temporary road course
コース長 8.348km
レース距離 417.383km
決勝日天候 Dry
ポールポジション
ドライバー クーパー-クライマックス
タイム 2:16.8
ファステストラップ
ドライバー ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス
タイム 2:17.5
決勝順位
優勝 クーパー-クライマックス
2位 クーパー-クライマックス
3位 クーパー-クライマックス

1960年フランスグランプリXLVI Grand Prix de l’ACF )は、1960年F1世界選手権の第6戦として、1960年7月3日にランス・グーで開催された。

レース概要

背景

ランス・グーで行われたフランスグランプリでは、リアエンジン車とフロントエンジン車の両方が走行した。フロントエンジン車のフェラーリ・ディーノ246F1は依然として競争力を保持しており、長いストレートでは優れたトップスピードを発揮した。フェラーリは前戦ベルギーからフィル・ヒル、ヴォルフガング・フォン・トリップス、ウィリー・メレスのラインナップでエントリーしたが、次戦のイギリスと続くポルトガルではメレスが欠場、2台体制となり、第9戦のイタリアでメレスとリッチー・ギンサーが復帰して4台体制となった。ロータスは前戦で事故死したアラン・ステイシーに代えてロン・フロックハートを起用、イネス・アイルランド、ジム・クラークとの3台体制で参戦した。フロックハートはシーズン初かつロータスでの唯一のレースであった。ロータスは次戦イギリスでは再びジョン・サーティースを起用している。

ヴァンウォールはF1世界選手権での最後のレースとなった。チームは1958年に初のコンストラクターズタイトルを獲得したが、今シーズンは新車のヴァンウォール・VW11を投入した本GPのみの参戦であった。フロントエンジンのVW11には競争力が無く、これはチームがレース後に選手権から撤退し、一年後に解散した理由となった。ドライバーはトニー・ブルックスが起用されたが、ヴァンウォール撤退後は再びヨーマン・クレジット・レーシングチームでクーパーをドライブしている。また、スカラブは勝利の可能性が無かったことから、本GP以降の参戦を取りやめた。チームオーナーのランス・リヴェントロウは本GPには参加せず、リッチー・ギンサーにシートを与えたが、ギンサーがスカラブをドライブしたのはこの1戦のみで、後にフェラーリに復帰している。ギンサーのチームメイトはチャック・デイであった。スカラブが2台体制で参加した最後のGPで、この後はアメリカグランプリに1台体制で参加しただけであった。

多くのドライバーとチームがプライベーターとして参加した。スクーデリア・セントロ・スッドはモーリス・トランティニアン、マステン・グレゴリー、イアン・バージェスの3人にクーパー・T51を用意した。また、ヨーマン・クレジット・レーシングチームのオリヴィエ・ジャンドビアン、ヘンリー・テイラー、ブルース・ハルフォードもクーパーをドライブした。ハルフォードは本GPが最後のレースとなった。フェラーリから購入したクーパーをドライブしたのはスクーデリア・エウジェニオ・カステロッティのジーノ・ムナロンであった。ルシアン・ビアンキもクーパーでフレッド・タック・カーズから参戦した。また、デヴィッド・パイパーはロータス・16で今シーズン初のレースに参戦した。

ランス・グーでのフランスGPではフェラーリが4度優勝しており、参加ドライバーではブルックスのみが本サーキットでの優勝経験者であった。本GPまでのドライバーズランキングはクーパーのブルース・マクラーレンがチームメイトのジャック・ブラバムを抑えてトップに立っていた。3位のスターリング・モスは負傷のため本GPには参加していない。全てのドライバーに理論的にはチャンピオンの可能性があった。コンストラクターズランキングではクーパーがロータス、フェラーリに対して大きなリードを保っていた。コンストラクターでもこの段階では全てのチームがタイトルの可能性を持っていた。

予選

前戦同様にブラバムが予選を支配し、2番手に大きな差を付けた。ブラバムは2戦連続のポールポジションを獲得した。クーパーにとっては今シーズン3度目のポールポジションであった。2番手はフェラーリのフィル・ヒル、その後にBRMのグラハム・ヒル、ロータスのイネス・アイルランドが続き、異なるコンストラクターの4台が上位4グリッドを占めた。フェラーリは前戦同様本GPでも競争力を保っていた。チームメイトのメレスとフォン・トリップスも5番手、6番手グリッドに付けていた。グラハム・ヒルのチームメイト、ダン・ガーニーとヨー・ボニエは7番手と10番手に付けた。ドライバーズランキングをリードするマクラーレンは9番手となった。プライベーターの最高位はジャンドビアンの11位であった。ヴァンウォールの新車をドライブしたブルックスは14位であった。

スカラブの2台はエンジンにトラブルが生じ、レースに参加することはできなかった。パイパーのロータスも予選でのエンジントラブルで決勝には参加できなかった。

決勝

決勝は2つの事故で始まった。技術的トラブルでグラハム・ヒルが立ち止まったところにトランティニアンが追突した。ヒルのBRMは大きく損傷し、レースを終えることとなった。トランティニアンは数メートル進んだが、こちらもリタイアとなった。ブルックスとビアンキも衝突したが、両名ともレースを継続した。ブラバムはレースをリードし、序盤3周でトップを走行した。フィル・ヒルがブラバムにアタックし、4周目でトップに立つ。今シーズンフェラーリがトップに立ったのはこれが初めてであった。また、フロントエンジン車がサーキットの特性のため勝利争いに絡んだ最後から二番目のレースであった。

ブラバムとフィル・ヒルは激しくトップを争った。2人は18周目までに合計11回順位を入れ替えた。4周目から9周目まで2人は交互にトップに立ち、ブラバムはトップを2周維持した後、フィル・ヒルも2周トップに立った。その後15周目まで交互にトップに立った。2人はストレートではサイドバイサイドで争い、幾度となくホイールが接触するほどの接戦を繰り広げた。15周目にフィル・ヒルがトップとなり、その座を3周維持したが、トランスミッションのトラブルでパワーが低下した。彼はまた、コースバリアに接触したことでフロントアクスルにもダメージを負っていた。ブルックスは7周目にバイブレーションのためにリタイアした。メレス、ビアンキ、ムナロンはトランスミッションのトラブルでリタイアした。BRM・P48は再び信頼性の欠乏を示し、ガーニーとボニエはエンジントラブルでリタイア、BRMは再び完走を果たせなかった。

フィル・ヒルが順位を下げた後、フォン・トリップスがブラバムに挑んだが、チームメイトのフィル・ヒル同様数周後に後退した。フェラーリは両名とも途中でトラブルに見舞われたが、規定の走行距離を走行していたとして完走扱いになった。フェラーリとの争いが無くなると、クーパーがレースを支配した。ジャンドビアンとマクラーレンが2位争いをしている間にトップのブラバムはその差を広げていった。いくつかの場面で両名は他のドライバーを追い抜いたが、当時はオーバーテイクを希望するドライバーを追い抜かせることに関するルールは無かったため、マクラーレンは追い越しに手こずり多くの時間を費やし、結局ジャンドビアンが2位となった。これはジャンドビアンにとって2回目かつ最後の表彰台となった。ブラバムは3連勝での3勝目を挙げ、クーパーにとっても3連勝、シーズン4勝目となった。ファステストラップもブラバムが3連続で記録した。ドライバーズランキングはブラバムとマクラーレンが24ポイントと同点になり、勝利数でブラバムがトップとなった。ジャンドビアンはモスに次ぐ4位に浮上した。依然として全てのドライバーがチャンピオンになる可能性があった。コンストラクターズランキングではクーパーがロータスに対してポイント差を19に広げ、タイトルが目前に迫っていた。クーパーは次戦で勝利するとタイトルを獲得する。加えて、ロータスとフェラーリにはタイトルの可能性が残されたが、BRMはタイトルの可能性が無くなった。

テイラーは4位に入り、その経歴で唯一のポイントを獲得した。クラークは前戦に続いて5位に入賞した。フロックハートも6位に入りポイントを獲得した。彼にとっては1956年イタリアグランプリ以来のポイントであったが、経歴上最後のポイントとなった。アイルランドが7位に入り、ハルフォード、グレゴリー、バージェスと続いた。トリップスが11位、フィル・ヒルが12位に入り、以上が完走者であった。

エントリーリスト

チーム No. ドライバー シャシー エンジン タイヤ
スクーデリア・フェラーリ 02 フィル・ヒル フェラーリ・ディーノ246F1 フェラーリ 2.4 V6 D
04 ヴォルフガング・フォン・トリップス
06 ウィリー・メレス
オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 08 ヨアキム・ボニエ BRM・P48 BRM 2.5 L4 D
10 ダン・ガーニー
12 グラハム・ヒル
ヴァンウォール・プロダクツ・リミテッド 14 トニー・ブルックス ヴァンウォール・VW 11 ヴァンウォール 2.5 L4 D
クーパー・カー・カンパニー 16 ジャック・ブラバム クーパー・T53 クライマックス 2.5 L4 D
18 ブルース・マクラーレン
チーム・ロータス 20 イネス・アイルランド ロータス・18 クライマックス 2.5 L4 D
22 ロン・フロックハート
24 ジム・クラーク
リヴェントロウ・オートモビルズ・インク 26 チャック・デイ スカラブ・タイプ1 スカラブ 2.4 L4 D
28 リッチー・ギンサー
スクーデリア・カステロッティ 30 ジーノ・ムナロン クーパー・T51 カステロッティ 2.5 L4 D
ロバート・ボドル・リミテッド 34 デヴィッド・パイパー ロータス・16 クライマックス 2.5 L4 D
フレッド・タック・カーズ 36 ルシアン・ビアンキ クーパー・T51 クライマックス 2.5 L4 D
スクーデリア・セントロ・スッド 38 モーリス・トランティニアン クーパー・T51 マセラティ 2.5 L4 D
40 マステン・グレゴリー
42 イアン・バージェス
ヨーマン・クレジット・レーシングチーム 44 オリヴィエ・ジャンドビアン クーパー・T51 クライマックス 2.5 L4 D
46 ヘンリー・テイラー
48 ブルース・ハルフォード

結果

予選

順位 ドライバー コンストラクター タイム 最高速 グリッド
01 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 2:16.8 219.68 km/h 01
02 フィル・ヒル フェラーリ 2:18.2 217.46 km/h 02
03 グラハム・ヒル BRM 2:18.4 217.14 km/h 03
04 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 2:18.5 216.99 km/h 04
05 ウィリー・メレス フェラーリ 2:19.3 215.74 km/h 05
06 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 2:19.4 215.59 km/h 06
07 ダン・ガーニー BRM 2:19.4 215.59 km/h 07
08 ロン・フロックハート ロータス-クライマックス 2:19.5 215.43 km/h 08
09 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 2:19.6 215.28 km/h 09
10 ヨアキム・ボニエ BRM 2:19.8 214.97 km/h 10
11 オリヴィエ・ジャンドビアン クーパー-クライマックス 2:20.0 214.66 km/h 11
12 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 2:20.3 214.20 km/h 12
13 ヘンリー・テイラー クーパー-クライマックス 2:22.8 210.45 km/h 13
14 トニー・ブルックス ヴァンウォール 2:23.3 209.72 km/h 14
15 ルシアン・ビアンキ クーパー-クライマックス 2:23.6 209.28 km/h 15
16 ブルース・ハルフォード クーパー-クライマックス 2:23.6 209.28 km/h 16
17 マステン・グレゴリー クーパー-マセラティ 2:24.3 208.27 km/h 17
18 モーリス・トランティニアン クーパー-マセラティ 2:24.7 207.69 km/h 18
19 ジーノ・ムナロン クーパー-カステロッティ 2:31.3 198.63 km/h 19
20 イアン・バージェス クーパー-マセラティ 2:36.7 191.79 km/h 20

決勝

順位 No 国籍 ドライバー コンストラクター 周回 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 16 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 50 1:57:24.9 1 8
2 44 オリヴィエ・ジャンドビアン クーパー-クライマックス 50 + 48.3 9 6
3 18 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 50 + 51.9 7 4
4 46 ヘンリー・テイラー クーパー-クライマックス 49 + 1 Lap 12 3
5 24 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 49 + 1 Lap 10 2
6 22 ロン・フロックハート ロータス-クライマックス 49 + 1 Lap 14 1
7 20 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 43 + 7 Laps 4  
8 48 ブルース・ハルフォード クーパー-クライマックス 40 エンジン 15  
9 40 マステン・グレゴリー クーパー-マセラティ 37 + 13 Laps 17  
10 42 イアン・バージェス クーパー-マセラティ 36 + 14 Laps 22  
11 4 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 30 トランスミッション 5  
12 2 フィル・ヒル フェラーリ 29 トランスミッション 2  
Ret 8 ヨアキム・ボニエ BRM 22 エンジン 8  
Ret 36 ルシアン・ビアンキ クーパー-クライマックス 18 トランスミッション 15  
Ret 10 ダン・ガーニー BRM 17 エンジン 6  
Ret 30 ジーノ・ムナロン クーパー-カステロッティ 16 トランスミッション 19  
Ret 6 ウィリー・メレス フェラーリ 14 トランスミッション 11  
Ret 14 トニー・ブルックス ヴァンウォール 7 バイブレーション 13  
Ret 12 グラハム・ヒル BRM 0 アクシデント 3  
Ret 38 モーリス・トランティニアン クーパー-マセラティ 0 アクシデント 18  
DNS 28 リッチー・ギンサー スカラブ エンジン 20  
DNS 34 デヴィッド・パイパー ロータス-クライマックス エンジン 21  
DNS 26 チャック・デイ スカラブ エンジン 23  

第6戦終了時点でのランキング

  • : ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。

参照


前戦
1960年ベルギーグランプリ
FIA F1世界選手権
1960年シーズン
次戦
1960年イギリスグランプリ
前回開催
1959年フランスグランプリ
フランスグランプリ 次回開催
1961年フランスグランプリ



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