0.5M方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 04:39 UTC 版)
0.5M方式、または0.5Mシステムとは、電動車において動力台車と付随台車とをひとつずつ搭載したシステムである。 VVVFインバータ制御ではそれぞれの主電動機にインバータを用意する方が粘着性制御において有利だが、コンバータ・インバータユニットの小型モジュール化の実現により各車両にインバータと電動機とを分散搭載することが可能になったことで実現した方式である。0.5M方式の導入により、編成内各車の重量均一化と牽引力の分散による車両間衝動の抑制、制御装置の複数設置による冗長性の確保、電動車と付随車を区別しない編成組成の自由度の向上、台枠をはじめとする車両設計の共通化による設計・部品製造工数削減によるコストダウン、メンテナンスの合理化など、多くのメリットがある。編成中のMT比を1:1にする目的で一部の電動車に採用されたり(例:JR東海313系電車)、4両編成でMT比を3M1Tとしながらも制御電動車を0.5Mとすることで乗り心地の改善を図った車両もある(例:阪神5700系電車)。 電動車の一部軸を駆動軸としない設計はマキシマム・トラクション台車など昔から存在し、低速で運行する車輌では珍しくなかった。現在の東京メトロの原点となる初代東京地下鉄道が開業と同時に導入した1000形も電動機2台搭載である。一般に抵抗制御の車両では複数の電動機を一群として制御するのが一般的であり主制御器が高価であり、また主抵抗器などの制御装置は床下の大部分を占有した。そのため主制御器を各車両に積むのは不経済であり、無動力の付随車を編成に組み込むか、2両以上のユニット方式で所要の編成に仕立てることが一般的であった。主電動機もまた高価なものであり、その結果として高加速度を期待できる全電動車編成は高価にならざるを得なかった。そこで1台車1モーター2軸駆動として空転を防ぎつつ電動機数を半減させたのが東急電鉄6000系電車である。しかしながら1台車1モーター2軸駆動(全軸駆動)という意欲的設計が祟り、さらに乗り入れ先の営団地下鉄や東武鉄道から特殊の設計に対して難色が示されたこともあって試作レベルの少数製造にとどまり、量産車となる7000系では動力車としては通常の1台車2モーターの形態となった。 採用例JR西日本125系電車(両運転台付単行車) JR西日本321系電車(付随車のサハ321形有り) JR西日本225系電車 一畑電車7000系電車(両運転台付単行車) JR西日本227系電車 JR西日本287系電車 JR西日本323系電車 JR東日本EV-E301系電車 JR東日本E129系電車 東京メトロ13000系電車
※この「0.5M方式」の解説は、「動力車」の解説の一部です。
「0.5M方式」を含む「動力車」の記事については、「動力車」の概要を参照ください。
- 0.5M方式のページへのリンク