LAMP法
別名:LAMP
英語:Loop-Mediated Isothermal Amplification
日本の栄研化学が開発した遺伝子の増幅法。広く用いられているポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)よりも、簡易でコストが低いとされている。
LAMP法では、PCR法と同様に、増幅したい遺伝子とプライマー、DNA合成酵素、基質などを混合した液体が用いられるが、増幅反応が進行するメカニズムが異なっている。PCR法では、温度を一定時間ごとに変化させるために特殊な機器(サーマルサイクラー)を必要とするが、LAMP法は65℃付近の一定温度に保つだけで増幅を行うことができる。また、LAMP法では増幅反応が進行すると副産物のピロリン酸マグネシウムが大量に生じ、反応液が濁るため、電子泳動を行わずに目視で迅速に成否を判定できるという利点もある。
2013年現在、インフルエンザウイルス、結核菌、腸管出血性大腸菌、マイコプラズマなど様々な病原体に対して、LAMP法の原理を使用した迅速診断法が開発されている。2013年12月には、北海道大学の研究グループが、1検体あたり100円で結核とアフリカ睡眠病を診断できるキットを開発したと発表し、発展途上国での感染症対策に効果が期待できるとした。
関連サイト:
LAMP法の原理 - 栄研化学
結核、アフリカ睡眠病の100円診断キットを開発 - 北海道大学
LAMP法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 05:05 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動LAMP法(らんぷほう、Loop-Mediated Isothermal Amplificationの略)とは、標的遺伝子の配列から6つの領域を選んで組み合わせた4種類のプライマーを用いて、鎖置換反応を利用して増幅させる方法である。
プライマーの設計によって、最初の増幅産物のプライマー結合部位にループ構造を生じるようにする。ループ部分は一本鎖なので、次のプライマーが結合できる。鎖置換活性の高い特殊なDNA合成酵素は、進行方向にある二本鎖DNAを解離しながら、自らの伸長反応を進めていく。最終的には、もとの標的配列の約整数倍の長さの増幅産物が1時間ほどの65℃の反応で蓄積する。したがって反応産物を電気泳動するとラダー状である。
PCR法と比較して、1本鎖から2本鎖への変性反応が必要なく、60〜65℃の定温で反応が進行するという特徴があり、サーマルサイクラーのような機器を必要としない。また、増幅速度が速く、特異性も高い(標的以外のものが増えにくい)ことから、反応液の白濁を見るだけでテンプレート(標的)が増えたかどうかを確認できる。 栄研化学が商標権を有している[1][2]。
応用
体外診断用医薬品
下記の製品群が感染症の検査としてLoopampシリーズとして栄研化学により商品化されている。
- 結核菌群検出試薬キット
- 百日咳菌検出試薬キットD
- マイコプラズマP検出試薬キット
- レジオネラ検出試薬キットC
- H1 pdm 2009インフルエンザウイルス検出試薬キット
- A型インフルエンザウイルス検出試薬キット
- H5亜型インフルエンザウイルス検出試薬キット
- SARSコロナウイルス検出試薬キット
- 新型コロナウイルス2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット
環境衛生検査
- レジオネラ検出試薬キットE (在郷軍人病)
- クリプトスポリジウム検出試薬キット
- ジアルジア検出試薬キット
脚注
- ^ “Loop-mediated isothermal amplification of DNA”. Nucleic Acids Res 28 (12): E63. (June 2000). PMID 10871386 .
- ^ US6410278[1]
参考文献
- 高野弘、酒井栄一、佐々木泰治:【医学検査のあゆみ-23】「LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法の原理と応用」 (PDF) モダンメディア、60巻 7号 2014年、pp.211-231
関連項目
外部リンク
LAMP法
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「COVID-19の検査」の記事における「LAMP法」の解説
上述のPCR検査ではないLAMP法でウイルスの遺伝子を増幅する、「Loopamp新型コロナウイルス2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット」が、2020年3月31日に承認された。リアルタイム濁度測定装置 LoopampEXIAを使用して増幅から検出までをワンステップで行うことができ、反応は35分で終わる。発売元の栄研化学はLAMP法の特許を持ち、ライセンス契約を結んだキヤノンメディカルシステムズは同年8月3日、反応時間約10分検査ができる「Genelyzer キット」を9月に発売することを発表した。加熱・冷却を繰り返しながら遺伝子を増幅させる必要があるPCR検査にくらべ、一定温度での反応で終わるため安価な装置での検査が可能で、空港など即日検査が必要なケースでの需要も見込む。
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