COVID-19の世界的流行に伴うSARS-CoV-2診断技術への応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 19:46 UTC 版)
「CRISPR」の記事における「COVID-19の世界的流行に伴うSARS-CoV-2診断技術への応用」の解説
新型コロナウイルスに関しても、Cas12a/Cas13の診断技術が応用される可能性があり、Cas13aを用いたリキッドバイオプシーからがん変異遺伝子を特定する技術に続いて、2020年3月にはCas13aを用いたSARS-CoV-2の検出プロトコルが発表された。Cas13を用いた検査に関しては、サンプルRNAに関して感度95%以上・特異度99%以上という高精度かつ検査1回当たり0.05ドルという安価な費用、2時間以内という迅速性が利点として挙げられ、この点が従来の検査法であるRT-PCR法に対して優越し、SARS-CoV-2のmRNAに応用することも検討されている。理化学研究所・東京大学先端科学技術研究センター・東京大学大学院理学系研究科・京都大学ウイルス・再生医科学研究所の研究チームは、SARS-CoV-2由来のウイルスRNAを分子レベルで5分以内に迅速に高い特異度で検出する、COVID-19を含む感染症の超高感度の検査技術を開発した。これは、従来のCRISPR-Cas13aによる検査法にマイクロチップ技術(マイクロチャンバーアレイ)を組み合わせたSATORI法(CRISPR-based Amplification-free Digital RNA Detection)であり、唾液のような混入物質に対してロバストであるため、RNAを純化する作業が不要で臨床に応用しやすく、従来の検査法で精度が高く確定診断に用いられるPCR検査と比較して極めて迅速であり、迅速でスクリーニングに適している抗原検査よりも検出感度や特異度が高いと当研究チームは主張している。また、オフターゲット変異が少ないとされるタイプⅠのCas3を用いた日本の国産ゲノム編集技術をLAMP法(Loop-mediated Isothermal Amplification)と組み合わせることで、東京大学医科学研究所の研究チームがCOVID-19検査法として応用したCONAN法(Cas3-operated Nucleic Acid Detection)という診断薬技術をプレプリントの方式で発表し、この検査技法は40分以内の迅速な検査が可能で、Cas12(Cas12aを用いたDETECTR法(DNA Endonuclease-Targeted CRISPR Trans Reporter))やrRT-PCRを用いた検査に匹敵する速度や感度であり、特異度はより高く低コストかつ熟練した検査人員や機器が不要であり、SARS-CoV-2以外にもA型インフルエンザウイルス(H1N1pdm09・H3N2)の検査等にも応用可能であると主張する。 以上のような技術に加え、食品医薬品局(FDA)から実際にコロナウイルスの診断薬として緊急使用許可(EUA)を受けているものも存在し、SHERLOCK法を用いた「CRISPR SARS-CoV-2キット」やDETECTR法を用いた"SARS-CoV-2 DETECTR Reagent Kit"は申請され緊急使用許可が下りた。
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