黒木のフジとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 黒木のフジの意味・解説 

黒木のフジ

史跡名勝記念物のほかの用語一覧
天然記念物:  黄柳野ツゲ自生地  黒子島原始林  黒岩山  黒木のフジ  黒柏鶏  黒髪山カネコシダ自生地  龍宮の潮吹

黒木のフジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 09:44 UTC 版)

黒木のフジ。2017年5月6日撮影。

黒木のフジ(くろぎのフジ)は、福岡県八女市黒木町黒木に鎮座する素盞嗚(すさのお)神社の境内に生育する、国の天然記念物に指定されたフジ(藤)の老樹である[1][2][3]

フジの老樹・巨樹として日本国内有数の規模を誇る著名な藤(野田藤・ノダフジ)であり、1928年昭和3年)1月31日に国の天然記念物に指定された[1]文化庁による天然記念物としての指定名称は「黒木のフジ」であるが、現地案内表示や各種観光案内などでは「黒木大藤」または「黒木の大藤」などと呼ばれることが多い。毎年4月中旬から5月上旬の開花時期には、藤まつりの「八女黒木大藤まつり」が開催され[† 1]、巨大な藤棚から1メートルを超す多数の花房が垂れ下がり、多くの見学者で賑わう[2]。日本国内に8件ある国の天然記念物に指定されたつる性樹木の1つである[4]

解説

黒木のフジ
黒木のフジの位置。

黒木のフジのある福岡県南部の八女市黒木町は、熊本県との県境にほど近い筑肥山地西麓を西に流れる矢部川右岸(北岸)に位置しており、江戸期には筑肥山地の豊富な山産物を扱う久留米藩在郷町として発展した歴史を持ち、その古い町並みは2009年平成21年)に八女市黒木として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された[5]。黒木の町並みは福岡県南部の観光地として周知されており、町並保存地区として整備が行われ、別名「筑後黒木」とも呼ばれている[6]

国の天然記念物に指定された黒木のフジは、町並保存地区の東側に隣接した素盞嗚(すさのお)神社境内の前庭に生育している[2][† 2]。黒木のフジの主幹は、根元の部分から東南方向へ屈曲しており、そこから上方へ向かい、地上約2メートルのところで2本の太い枝に分かれ、それぞれが横に延びて無数の枝や蔓を作って藤棚の全面に広がっている[3][7]。また、主幹の東側にも1本の小さな支幹が発生して西方向へ延びて藤棚に達している[3]。これらが主な幹であるが、その他にも数本の支幹があって、これらが根元付近で複雑に絡み合い渦巻きのような状態になっている[3][7]

このような形状であるため、根回りや目通り幹囲の正確な測定は出来ないものの、地上約60センチにおける幹囲は2.2メートル[2]、藤棚の上に広がる枝張りは、東西48メートル、南北42メートルという巨大なもので[2]、設置されている藤棚の面積は約3,000平方メートルもあり[8]、その一部は南側の国道442号線の路上を覆っているため、開花時にはフジの花房の下を車で走行することができる。開花時に多数垂れ下がる花房は一様に長く、最も長いものは1.2メートルに達する[7][9]

伝承によれば黒木のフジは、1395年応永2年)3月、南朝征西大将軍懐良親王の御手植えによるものと伝えられており[3][7][2]樹齢は600年を超えるものと推定されている[8]。その後の1586年天正14年)大友氏による兵火を受け、1821年文政4年)1月14日に起きた火災と[3][7]、2度の焼損により樹勢が損なわれたものの、近隣の人々の手厚い保護により枯死することは免れ、今日まで生き延びている[2]

交通アクセス

所在地
  • 福岡県八女市黒木町黒木5-2[8][10]
交通

脚注

注釈

  1. ^ 2020年2022年新型コロナウイルス感染症の世界的流行_(2019年-)コロナ禍)による影響を受け中止されている。
  2. ^ 素盞嗚神社は日本国内各地にあるが、当社はスサノオを祭神とする祇園信仰の神社であるため、出典に使用した『本田(1957)』、『文化庁文化財保護部監修(1971)』では素盞嗚神社ではなく祇園神社と表記されている。

出典

  1. ^ a b 黒木のフジ(国指定文化財等データベース) 文化庁ウェブサイト、2022年3月31日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 尼川(1995)、p.525。
  3. ^ a b c d e f 本田(1957)、p.261。
  4. ^ 講談社編(1995)、p.524。
  5. ^ 八女市黒木(国指定文化財等データベース) 文化庁ウェブサイト、2022年3月31日閲覧。
  6. ^ 八女市黒木(福岡県)”. 重要伝統的建造物群保存地区. 2022年3月31日閲覧。
  7. ^ a b c d e 文化庁文化財保護部監修(1971)、pp.167-168。
  8. ^ a b c 黒木の大藤”. 八女市市役所. 2022年3月31日閲覧。
  9. ^ 講談社編(1995)、p.522。
  10. ^ 黒木の大藤”. 黒木町観光協会. 2022年3月31日閲覧。
  11. ^ a b 交通アクセス 黒木町観光協会公式サイト 2022年3月31閲覧。

参考文献・資料

  • 加藤陸奥雄他監修・尼川大録、1995年3月20日 第1刷発行、『日本の天然記念物』、講談社 ISBN 4-06-180589-4
  • 文化庁文化財保護部監修、1971年5月10日 初版発行、『天然記念物事典』、第一法規出版
  • 本田正次、1958年12月25日 初版発行、『植物文化財 天然記念物・植物』、東京大学理学部植物学教室内 本田正次教授還暦記念会

関連項目

外部リンク

座標: 北緯33度12分46.7秒 東経130度40分23.7秒 / 北緯33.212972度 東経130.673250度 / 33.212972; 130.673250



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「黒木のフジ」の関連用語

黒木のフジのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



黒木のフジのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2025 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの黒木のフジ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS