黒人俳優として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 02:04 UTC 版)
「デンゼル・ワシントン」の記事における「黒人俳優として」の解説
アメリカにおける人種差別を背景に、黒人俳優が長年「型にはまった知能の低い悪党」という役柄か、エンタテイナー、あるいは家族で観られるコメディー映画にしか出演の機会を与えられなかったハリウッドにおいて、デンゼルは極めて独特な地位を築いた事で知られている。 『エリン・ブロコビッチ』でアカデミー主演女優賞を受賞したジュリア・ロバーツは、「ニューズウィーク」誌の取材に対して、「デンゼルなら、オスカーを3つもらっても少ないぐらい」と評している。またデンゼルとは『グローリー』『戦火の勇気』『マーシャル・ロー』と3度タッグを組み、双方とも全幅の信頼を寄せている映画監督のエドワード・ズウィックも、「白人俳優を主役に想定した脚本ばかりが映画化される」と同誌のインタビューで答えている。「黒人らしい」お定まりの脇役しか演じる機会を与えられないというのが、アメリカにおいての黒人俳優の状況・問題でもあるが、その中でデンゼルは、誇り高い黒人、目的を持ち強く冷静に生きていく男の姿を多彩な役柄で演じ分ける事でハリウッドの伝統に抵抗し続けている。1984年デンゼルは、第二次世界大戦中の米陸軍における黒人兵士間の対立を描いた映画、『ソルジャー・ストーリー』に出演した。黒人コメディアンのエディ・マーフィがハリウッドで大受けしていた時代に、デンゼルはコメディーだけが黒人俳優の仕事ではないと主張するため、敢えて人種間の緊張を引きずる作品に出ていたのである。 1970年代後半、まだ駆け出しの新人俳優だったデンゼルは、大先輩で大親友、師匠でもあるシドニー・ポワチエに、「君のキャリアは最初の3〜4本の出演作で決まる。自分がいいと信じる役が来るまで待つべきだ」とアドバイスされ、言われるがままにいくつかの「黒人らしい」役を断った。その後、社会派の伝記映画『遠い夜明け』のスティーヴ・ビコ役に抜擢され、オスカー俳優のケヴィン・クライン相手に一歩も引けを取らぬ見事な演技を披露して、社会派の黒人俳優だと世間に認識され、アカデミー助演男優賞にノミネートされた。現在デンゼルは、他の多くの黒人俳優のようにコメディアンやエンタテイナー、あるいは名悪役として認知されるのではなく、社会派の名優としての地位を完璧なまでに築いた。
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