高度な信頼依存性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 22:49 UTC 版)
先物取引は約束(契約)を根拠に、あらかじめ金銭上の受渡しを確約する契約形態であるため、債務不履行によるカウンターパーティリスクが非常に高い契約形態である。特に契約上不利益な結果に決着した側が債務の支払いを拒否したり、あらかじめ支払うべき額を用意せず破産に及ぶ場合、契約当初から支払う意思がなければ詐欺であり民事上の不法行為以前に刑事罰の対象となる。歴史的にはギルドや座における帳合取引(帳面だけによる予約取引)上の信頼性の確保は、加盟権の制限や自主的な懲罰規定(破約があれば永久追放)により担保されていた。また、未知の個々の市場参加者の信用リスクを遮断するため、クリアリングハウスで、精算・決済している先物取引所がある。 現在でも信頼関係による契約履行の担保は先物取引の大前提であり、不特定多数の一般投資家の参入を前提とした取引所先物取引では、証拠金や値幅制限の規定、決済日が約定日の翌日(T+1)など取引の決済や建玉の値洗い(値洗制度)による差金の受渡しの期間を短く規定し決済リスクを軽減する、クリアリングハウスの設置、あるいはブローカーの信用リスクに対する顧客資産への安全策(例えば、ブローカーによる顧客の有価証券や金銭等の流用の法令等による禁止、クリアリングハウスへの預託など資金の分別管理、ブローカーの支払不能対策保険契約、投資家保護基金等。)などが要請されている。 米国では1929年の世界恐慌以降、相対契約を含めた一般信用取引を包括的に統制するための法整備が進み、1934年に「証券取引所法」が、1936年に「商品取引所法」が制定され、CFTC(米国商品先物取引委員会)やSEC(米国証券取引委員会)が設置された。
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