駅員が店員を兼務する売店
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 07:18 UTC 版)
「京急ステーションコマース」の記事における「駅員が店員を兼務する売店」の解説
2000年(平成12年)、駅事務室と駅売店のレジカウンターを一体型した売店「京急ステーションストア(Keikyu St.2)」を、京急久里浜線の新大津駅・北久里浜駅・津久井浜駅の3駅に設置。売店には専任の店員を置かず、駅員がレジ業務や品出し・発注業務まで売店の全業務を兼務するという、他の大手私鉄では類例を見ない運営形態で物議を醸した。その後は他の駅にもこうした形態の売店が増えていき、沿線では「京急の駅の特徴的な風景」として地元民に長らく認知されることとなった。 京浜急行電鉄はこの「駅員兼務売店」の導入理由について、「自動券売機や自動改札機、交通系ICカードの普及により、駅構内に生じた空きスペースを活用するため売店を設置した」「駅はもともと早朝から深夜まで開いているため、駅員が店員を兼ねれば営業時間を長くできて便利になると考えた」「駅員が店員を兼ねることで人件費削減につながり、収益が上がらず閉店するということもない」としていた。 一例として、駅員2人勤務の駅では、1人が駅改札と売店レジを兼務し、もう1人が駅の事務作業と売店の納品を兼務する。1回のシフトで2人が朝から翌朝まで24時間勤務し、次のシフトの係員と交代する。鉄道トラブルの発生時など「どうしても駅業務に回らなければならない場合」には、一時的に売店を閉めて対応する。 先述のとおり、駅売店の運営は京急ステーションコマースが行うが、同社では当初は駅業務の委託も行っていた。その後、駅業務の委託が2005年に設立された京急ステーションサービスへ移管され、京急の駅員は京浜急行電鉄本体ではなく、京急ステーションサービスに所属していた。そのため、駅売店を兼務していた駅員は京浜急行電鉄ではなく、京急ステーションサービスの従業員であった。 京急ステーションサービスはその後、2017年10月16日付で京浜急行電鉄へ吸収合併されて消滅したが、京急ステーションサービスの消滅後も、駅員が売店業務を兼務する形態は続けられていた。 セブン-イレブンとの業務提携により、2009年以降は駅売店の全店をセブン-イレブンへ転換する方針としていた。しかしその後もセブン-イレブンへの転換は予定どおりに進まず、駅員が店員を兼務する売店「京急ステーションストア」は、2018年2月時点でもなお、横須賀地区を中心に20店舗が残っていた。同月時点の設置駅は以下のとおり。 京急空港線 - 大鳥居駅 京急本線 - 大森海岸駅、六郷土手駅、鶴見市場駅、花月園前駅、京急新子安駅、井土ヶ谷駅、屏風浦駅、能見台駅、京急田浦駅、県立大学駅、堀之内駅、京急大津駅、馬堀海岸駅 京急逗子線 - 六浦駅、神武寺駅、新逗子駅 京急久里浜線 - 新大津駅、北久里浜駅、津久井浜駅 2019年の京急ストアへの吸収合併後も、セブン-イレブンに転換されず「京急ステーションストア」として営業していた売店は、2020年3月時点で横須賀地区を中心に19店舗が残っていた。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、同年4月7日に東京都・神奈川県に緊急事態宣言が発出されたことに伴い、翌4月8日から「京急ステーションストア」全店舗を休業。そのまま営業を再開することなく、同年11月15日付で全店閉店した。 「京急ステーションストア」では、駅員が売店業務を兼務する形態が最後まで続けられていたが、京浜急行電鉄は「昨今の状況を鑑みて閉店を決めた」として、店舗跡地には無人型店舗や自動販売機の設置を検討する旨を発表した。
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