頭文字による名の略し方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 14:28 UTC 版)
「インド人の名前」の記事における「頭文字による名の略し方」の解説
家族名は省略して表記される場合、個人名の前にも後にも付けうる。 Noushad Shafi Ulooji 「Ulooji 家の Shafi の息子である Noushad」という名前であれば、Noushad S. U. とも、S. U. Noushad とも表記することができる。 南インドでは、頭文字 (initial) の用い方に固有の特徴があるので、名前のどの部分が個人名であるのかについて誤解を生むことがしばしばである。タミル人は普通、個人名しか持たないので、社会的な混乱を防ぐために父親の名が頭文字で名前の一部として用いられる。 Gopal の息子の Raman であれば G. Raman、Dinesh の息子の Raman であれば D. Raman である。 しかし、もともとの名前は、個人名の後に父名が来るという形式のものである。したがって、頭文字で示された父名などを略さずにすべて表記する場合、それは個人名の後に付けられなければならない。 P. Chidambaram は Chidambaram Palaniyappan であって、Palaniyappan Chidambaram ではない。個人名はあくまでも Chidambaram である。 チェスの名手 V. Anand は、頭文字を用いずに表記する場合 Anand Vishwanathan である。 解放運動の旗手であった C. Rajagopalachari は、もともとは Rajagopalachari Charkaravarty という名前である。 学校での学籍登録では、必ず父名の頭文字が個人名とともに登録される。また、政府の諸記録の上では父名の頭文字の使用が義務付けられている。そのため、父名の頭文字を用いない人々は証明書の発行や銀行での取引などの際に不法とみなされて不利益を受けたり、場合によっては差別の対象となることがある。 タミル・ナードゥ州の一部では、この制度に適応するために、伝統的な家族名による命名法が捨てられた例も見られる。父親の名あるいは夫の名が副名として用いられるため、家族名を伝統的に用いていた社会ではこれら父名と夫名が家族名とみなされるようになっている。 旅券などの文書には、頭文字ではなく名前全体が記入されることが一般的である。資産証明書などの場合には、同じ形式で父名、祖父名、夫名や故地名が記載されるが、頭文字による表記を用いることも許される。しかし、一般的には公的な記録においては、頭文字の使用が義務付けられ、父名を個人名の後に付けた形式の名は認められない。 P. Chidambaram も Chidambaram Palaniyappan もともに一人の人物の名であるが、法的には P. Chidambaram しか用いられない。 一般的に、名を短く略記する場合には、頭文字の部分を省略して、父名を個人名の後に付ける。 たとえば、M. Gopal Krishnan の息子の G. Raja Ravi Varma の名を略記する場合、Raja Gopal とする。 女性の場合、結婚前は父名の頭文字を用い、結婚後は夫名の頭文字を用いる。しかし近年では、女性の社会進出に伴い、特に雇用されている女性の間では、結婚後も変わらず父名の頭文字を用い続ける例が多くなってきている。女性の卒業証明書や履歴書は、多くの場合結婚前の記録であって頭文字は父名のものとなっているため、この傾向は結婚による改名後の名前を確認する煩雑さを避けるための手立てと考えられる。父名のままの頭文字を用いつつ、結婚後は夫名をさらに個人名の後に付けるということも、一部では行われているようである。
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