革新的太陽光発電

クリーンエネルギーの太陽光発電は、地球にほぼ無限に降り注ぐ太陽光をエネルギーとして利用でき、発電時には二酸化炭素(CO2)を排出しないとあって、地球温暖化防止への有力な発電方法として注目をあびています。2050年までに世界の温室効果ガス排出量を半減することを目的に、政府が環境戦略「クールアース50」を打ち出していますが、太陽光発電はこれを実現するために必要な要素の一つとしても数えられています。現在でも太陽光発電システムは住宅用などで普及が進んでいますが、さらに発電効率を向上しコストを削減できる「革新的太陽光発電」の実現に向けた取り組みも加速しています。
「革新的太陽光発電」とは、現在主流の結晶シリコンを活用した太陽電池と比べ、コストや発電効率などの性能を大幅に高めた次世代システムのことです。現在の太陽光発電のコストは1キロワット時当たり約46円。「革新的太陽光発電」の実用化が進めば、2030年には現在の火力発電並みの同7円にまで引き下げられるとしています。また、太陽電池の発電効率も現在の10−15%を50%にまで飛躍的に高めることも可能としています。
具体的には現在の結晶シリコン太陽電池を第一世代とすると、2030年頃までに超薄型結晶シリコン太陽電池、色素増感型有機系太陽電池などの第二世代システムを確立することが政府の技術開発ロードマップに示されています。第二世代システムの特徴は、シリコンの薄膜化や代替材料の利用によってコストを大幅低減できることです。シリコンの価格高騰によって現在の太陽電池はコストが高くなる影響を受けていますが、この使用量を削減することで製造コストは大幅に抑えられます。
すでに国内メーカーでは従来のシリコンを使った太陽電池の厚さを100分の1程度に薄型化した製品の実用化も進めています。さらに現在、2030年から2050年の間に実用化を目指し、第三世代システムの研究も大学や企業、研究開発機関などが連携して進めています。第三世代の研究はまだ始まったばかりですが、現在の延長線上にないまったく新しい材料や構造を持つ太陽光発電システムになると予想されています。
太陽電池生産量は日本が世界トップであり、今後もそれらの研究・技術開発は日本の企業や大学、研究機関がリードしていくことになりそうです。
(掲載日:2008/03/15)
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