随伴関手
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/11 14:45 UTC 版)
数学の特に圏論における随伴(ずいはん、英: adjunction)とは、二つの関手の間の(ある種の双対的な)関係のことである(随伴関係にある関手を持つ関手もあれば、持たない関手もある)。直感的に言えば、二つの相互に関連する圏の間に認められる、弱い同値的な関係のことである。この関係を表す関手のペアを随伴関手と呼び、片方を左随伴、もう片方を右随伴と呼ぶ。随伴の概念・随伴関手のペアは数学に遍在し、最適化や効率に関する直観的概念を明らかにし、また、ある種の数学的問題の"解決法の最適化"を行う過程で見出される(代数における集合上の自由群の構成や、位相空間におけるStone–Čech compactification(英語版)の構成などがその例である。
圏 この図式の縦方向の射はfやgを合成することで誘導される射である。 随伴の全容
以上のことから、随伴にはたくさんの関手や自然変換を持っているが、その一部を決めるだけで他のものは決定される。
圏CとDの間の随伴は以下のものから構成される。
- 左随伴と呼ばれる関手F : C ← D
- 右随伴と呼ばれる関手G : C → D
- 自然同型Φ : homC(F–,–) → homD(–,G–)
- 余単位と呼ばれる自然変換 ε : FG → 1C
- 単位と呼ばれる自然変換 η : 1D → GF
等価な定式化として、XをCの任意の対象としYをDの任意の対象としたとき、
全てのCの射 このことを使うと、以下に挙げる復元が可能である
- ^ arXiv.org: John C. Baez Higher-Dimensional Algebra II: 2-Hilbert Spaces.
- ^ William Lawvere, Adjointness in foundations, Dialectica, 1969, available here。今は異なる記法が使われる。Peter Smith in these lecture notes よるより簡単な紹介は、先の記事の考えにも基づいている
- ^ Saunders Mac Lane, Ieke Moerdijk, (1992) Sheaves in Geometry and Logic Springer-Verlag. ISBN 0-387-97710-4 See page 58
参考文献
- Adámek, Jiří; Herrlich, Horst; Strecker, George E. (1990) (PDF). Abstract and Concrete Categories. The joy of cats. John Wiley & Sons. ISBN 0-471-60922-6. Zbl 0695.18001
- Mac Lane, Saunders (1998). Categories for the Working Mathematician. Graduate Texts in Mathematics. 5 (2nd ed.). Springer-Verlag. ISBN 0-387-98403-8. MR1712872. Zbl 0906.18001
外部リンク
- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), "Adjoint functor", Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4。
- Adjunctions Seven short lectures on adjunctions.
随伴関手
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 09:26 UTC 版)
ある関手が他の関手に対し左随伴、もしくは右随伴であるということを定義できるが、多くの場合にこのような随伴関手の対は普遍性によって定義される構成から生まれる。これは、普遍性を調べるためのより抽象的で強力な手法を与えているとも考えられる。
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随伴関手
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 00:06 UTC 版)
函手 F に対して函手 G: D → C が HomD(FX, Y) ≡ HomC(X, GY) を満たすならば F は G の左随伴であると言い、 G は F の右随伴であると言う。
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