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長谷川四郎 (作家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/28 02:31 UTC 版)

長谷川四郎(1964年)

長谷川 四郎(はせがわ しろう、1909年明治42年〉6月7日[1] - 1987年昭和62年〉4月19日[1])は、日本小説家翻訳家

来歴・人物

北海道函館市出身[1]函館中学卒業[1]。1926年に上京[1]松本泰のもとに寄宿する[1]。1933年、立教大学予科を経て、法政大学文学部独文科に入学する[1]関口存男片山敏彦ドイツ語ドイツ文学を学び、豊島与志雄からフランス文学を学ぶ[1]

同学科を卒業後、1936年、南満州鉄道株式会社に入社[2]。1942年、満鉄を退社し、満洲国協和会調査部に入る[1]。1945年、ソ連侵攻により捕虜収容所に収容され、5年に及ぶシベリア抑留となった[1][3]

1951年、抑留経験をもとに雑誌『近代文学』に「シベリヤ物語」を発表した[1]。その後、新日本文学会で活躍し、1960年代の同会を花田清輝と共にささえた。この間、1967年3月には、ベイルートで開かれた第3回アジア・アフリカ作家会議に、日本代表団の団長として出席した。1974年、花田清輝と戯曲『故事新編』(魯迅の同名の作品に基づいたもの)を共同制作した。

1987年、都立松沢病院で死去[1]。墓所は富士霊園の文学者之墓[4]

親族

著作ほか

主な作品は、晶文社から『長谷川四郎全集』全16巻(1977年 - 1978年)として刊行された[2]。『全集』以降の著作は『ぼくのシベリアの伯父さん 長谷川四郎読本』(編著、1981年)と『文学的回想』(小著、1983年)が、没後の遺著に『山猫の遺言』(大著、1988年)がある。2009年8月、生誕100年記念出版『KAWADE道の手帖 長谷川四郎 時空を超えた自由人』(河出書房新社)が刊行された。

訳書

アルセーニエフデルスウ・ウザーラ 沿海州探検行』(平凡社東洋文庫/新版・河出書房新社[河出文庫]全2巻)を訳しており、これは黒澤明監督『デルス・ウザーラ』(日ソ合作、1975年)の原作となっている。

著書

  • 『シベリヤ物語』(筑摩書房) 1952、旺文社文庫講談社文芸文庫電子書籍あり)
  • 『鶴』(みすず書房) 1953、集英社文庫、講談社文芸文庫 - 文庫は各・改訂
  • 『無名氏の手記』(みすず書房) 1954
  • 『赤い岩』(みすず書房) 1954
  • 『悪い夢』(ダヴィッド社) 1955
  • 『阿久正の話』(河出新書) 1955、講談社文芸文庫 1991
  • 『遠近法』(パトリア、新鋭作家叢書) 1957
  • 『通り過ぎる者』(講談社) 1958
  • 『随筆丹下左膳』(みすず書房、みすず・ぶっくす) 1959
  • 『トロワ・コント』(実業之日本社) 1959
  • 『ベルリン物語』(勁草書房) 1961、講談社文芸文庫 1992 - 池内紀解説
  • 『目下旧聞篇 きょうかたるきのうのこと』(未來社) 1963
  • 『さまざまな歌 詩集・訳詩集』(思潮社) 1965
  • 長谷川四郎作品集」全4巻(晶文社) 1966 - 1969 - 毎日出版文化賞受賞
  • 『模範兵隊小説集』(筑摩書房) 1966
  • 『シベリヤ再発見 開かれる自然と詩』(三省堂新書) 1968
  • 『恐ろしい本』(筑摩書房、ちくま少年図書館) 1970
  • 『ボートの三人』(河出書房新社) 1971
  • 『ぼくの伯父さん』(青土社) 1971
  • 『ダンダン 海に落ちた話』(筑摩書房、ちくま少年文学館) 1972
  • 『原住民の歌 詩集』(晶文社) 1972
  • 『知恵の悲しみ わがバリエテ』(創樹社) 1973
  • 『中国服のブレヒト』(みすず書房) 1973
  • 『長谷川四郎の自由時間』(土曜美術社) 1975
  • 長谷川四郎全集」全16巻(晶文社) 1976 - 1978
  • 『北京ベルリン物語』(筑摩書房) 1976
  • 『長い長い板塀』(河出書房新社) 1976
  • 『よく似た人』(筑摩書房) 1977.3
  • 『九つの物語』(青土社) 1980.12
  • 『ぼくのシベリアの伯父さん 長谷川四郎読本』(晶文社) 1981.5
  • 『長谷川四郎詩集』(小沢信男編、土曜美術社、日本現代詩文庫) 1982.4
  • 『ところで今は何時かね 画文集』(大和美術印刷出版部、きゃらばん文庫) 1982.11
  • 『文学的回想』(晶文社) 1983.6
  • 『山猫の遺言』(晶文社) 1988.4 - 遺著の文集
  • 『長谷川四郎 ちくま日本文学全集46』(筑摩書房) 1992
  • 『鶴 / シベリヤ物語』(小沢信男編、みすず書房、大人の本棚) 2004
  • 『長谷川四郎集 戦後文学エッセイ選2』(影書房) 2006
  • 『シベリヤ物語 長谷川四郎傑作選』(堀江敏幸編、ちくま文庫) 2024
  • 『鶴 長谷川四郎傑作選』(堀江敏幸編、ちくま文庫) 2025

翻訳

  • 『パスキエ家の記録』全10巻(ジョルジュ・デュアメル、みすず書房) 1950 - 1952
  • 『ソヴェト文学入門』(ジャン・ペリュス、みすず書房) 1952
  • 『グラン・モーヌ ある青年の愛と冒険』(アラン=フルニエ、みすず書房) 1952、新装版 2004
  • 『ウスリー紀行』(アルセーニエフ、河出書房、世界探検紀行全集10) 1953
  • リルケ読本』(河出新書) 1956
  • 『海 訳詩集』(飯塚書店) 1956
  • 『平和の味 詩集』(ギュヴィク、国文社、ピポー叢書) 1957
  • 『尋問』(アンリ・アレッグ、みすず書房) 1958
  • 三銃士』(デューマ、講談社、少年少女新世界文学全集) 1963
  • 『コイナさん談義』(ベルトルト・ブレヒト、未來社) 1963
  • 『キューバの歌 詩集』(ニコラ・ギリェン、国文社、ピポー叢書) 1964
  • デルスウ・ウザーラ 沿海州探検行』(アルセーニエフ平凡社、東洋文庫) 1965。のちワイド版、電子書籍
  • ロルカ詩集』(みすず書房) 1967、土曜社 2020
  • 『世界反戦詩集』(木島始, 菅原克己共編、太平洋出版社) 1970
  • 『壁に隠れて 理髪師マヌエルとスペイン内乱』(ロナルド・フレーザー、平凡社) 1973、新装版 2001
  • 『風の神の琴 訳詩集』(せりか書房) 1973
  • 『オリバーくん』(ロバート・クラウス、ほるぷ出版) 1976.6
  • 『コケコッコー』(ラインホルト・エーアハルト、ほるぷ出版) 1976.9
  • 『ヤチのおにんぎょう ブラジル民話より』(C・センドレラ、ほるぷ出版) 1976.9
  • 『マラルメ先生のマザー・グース』(ステファヌ・マラルメ、晶文社) 1977.3
  • 『ブレヒト詩集』(みすず書房) 1978.8、新装版 1998
  • 『吉備津の釜うらない 雨月物語』(平凡社) 1978.9
  • 『おおきくてもちいさくても…』(マリア・エンリカ・アゴスティネリ、ほるぷ出版) 1979.8
  • 『ねずみせんせいのしんさつじかん』(イングリット・オルデン、ほるぷ出版) 1980.6
  • 『家庭用説教集』(ベルトルト・ブレヒト、野村修共訳、晶文社、ブレヒト・コレクション) 1981.6
  • 『子供の十字軍』(ベルトルト・ブレヒト、リブロポート) 1986.1、新装復刊(パロル舎) 2005
  • 『カフカ傑作短篇集』(フランツ・カフカ福武文庫) 1988.3 - 新版21編

参考文献

  • 長田弘『詩人であること』岩波書店、1983年8月30日。 

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 長谷川 四郎〜函館ゆかりの人物伝”. www.zaidan-hakodate.com. 函館市文化・スポーツ振興財団. 2025年3月9日閲覧。
  2. ^ a b 北海道立文学館編 『北海道文学大辞典』 (PDF) 北海道新聞社
  3. ^ 長田 1983, p. 166.
  4. ^ 墓所一覧”. www.asahi-net.or.jp. 2024年12月28日閲覧。



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