金属の使用と人類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 04:15 UTC 版)
金属器の製造には、鉱産資源のみならず、その鉱石を溶かすための炉の施設、薪となる木材、木炭、石炭、地域によっては家畜の糞などの燃料、不純物を除去するための精練炉などの施設、ならびに鋳型や鍛冶炉などのような成形ないし整形のための設備・道具など、一連の材料・道具・設備が必要であり、また、人類にとっては、火力の統制や一定の化学知識の保有と伝承を前提とする。金属器の製造が人類史において画期的なできごとであることは言うまでもない。 しかし、それ以上に金属器の使用が人類史にもたらした変化には劇的なものがある。森林の伐採や農業生産、各種の土木工事、建築工事、あるいは戦争における武器などとして、人類の生活領域と可耕地を拡大し、生産力の飛躍的上昇がもたらされたとともに政治組織の形成を促し、さらに、階層分化と人間同士の抗争の激化をまねいた。その使用開始時期が時代区分法として採用される理由もここにある。 なお、金属の鋳造技術が未熟で金属器と石器を併用した時代を、考古学では金石併用時代と呼称している。日本では弥生時代前半がそれにあたるが、佐原眞は、石鏃の武器としての能力は決して鉄鏃に劣るものではないことを実験によって明らかにしている。
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