重力場の調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 18:54 UTC 版)
「一般相対性理論の概説」の記事における「重力場の調査」の解説
物体の重力の影響をマッピングするために、物理学者がプローブもしくは試験粒子と呼ぶものを考えるのは有用である: 粒子は重力の影響を受けるが、非常に小さく軽いため自身の重力効果を無視できる。重力やその他の外力がない場合、試験粒子は一定速度で直線に沿って移動する。時空の言葉では、このことは試験流が時空の直線の世界線に沿って移動するということと同等である。重力がある場合、時空は非ユークリッド、曲であり、曲がった時空では直線の世界線は存在しない場合がある。代わりに、試験粒子は測地線と呼ばれる線に沿って移動する。測地線とは「可能な限り直線」であり、試験粒子は曲率を考慮して始点と終点の間の最短経路をたどる。 単純な類似は以下の通りである。測地学(地球の大きさと形状を測定する科学)において測地線(英語のgeodesicはギリシア語で地球を意味する"geo"と分割を意味する"daiein"に由来)は地表上の2点間の最短ルートである。およそこのようなルートは経線や赤道などの大円の部分である。これらの経路はたしかにまっすぐではない。というのは、単に地表の曲率に従う必要があるからである。しかしこの制約を受けるが、可能な限り直線である。 測地線の性質は直線の性質とは異なる。例えば、平面上では平行線が交わることはないが地表上の測地線ではそうではない。例えば経線どうしは赤道において平行であるが極で交わる。同様に自由落下する試験粒子の世界線は時空測地線であり、時空において可能な限り直線である。しかし、これと特殊相対性理論の無重力次元で描かれる真の直線の間には大きな違いがある。特殊相対性理論においては、平行測地線は平行のままである。潮汐効果のある重力場では一般的にそうではない。例えば2つの物体が互いに相対的に静止しているがその後地球の重力場に落とされる場合、それらは地球の中心に向かって落ちるように互いに向かって移動する。 惑星や他の天体と比較して、日常生活の物体(人、車、家、山でさえも)はほとんど質量を持たない。このような物体が関係する場合、試験粒子の振る舞いを支配する法則で何が起きるかを説明するのに十分である。特に、測地線の経路から試験粒子を逸らすためには外力を加える必要がある。誰かが座っている椅子は外向き上向きの力を加え、人が地球の中心に向かって自由落下し地球中心とそれらの間に物質がなければあったであろう測地線に従うことを妨げる。このようにして、一般相対性理論は地表上での重力の日常的な経験を、重力が下向きに引っ張るのではなく、外力が上向きに押すものとして説明する。これらの力は全ての物体が従ったであろう測地線から地表上にある全ての物体を逸らす。自身の重力の影響を無視できない物質物体の場合、運動の法則は試験粒子の場合よりもやや複雑であるが、時空が物質に対してどのように動くかを伝えているのは事実である。
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