醸造とワインのスタイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/18 14:42 UTC 版)
「シュナン・ブラン」の記事における「醸造とワインのスタイル」の解説
ワイン専門家のジャンシス・ロビンソンは、シュナン・ブランを「世界で最も多目的に使われるブドウである」と評した。というのも、この品種からは、辛口ワインから長期熟成に耐えるデザートワインのような甘口ワインまで、様々な糖度のワインを産出するほか、瓶内二次発酵によるスパークリングワインや、酒精強化ワインの生産にも使われるからである。単一品種ワインとして個性のあるワインになるほか、酸味を補う目的で他の品種とのブレンドにも使われる。広く辛口から甘口まで、高品質なワインになりうる点は、ドイツにおけるリースリングと比較されることもあり、ロビンソンはフランスにおいてドイツのリースリングに対応する品種がシュナン・ブランであるとしている。 ヨーロッパとニューワールドのシュナン・ブランの違いとして主だったものに、醸造時の温度が挙げられる。ロワールなどのヨーロッパの生産者は、16~20oCと高めの温度で醸造を行うが、南アフリカなどのニューワールドでは10~12oCでの醸造が一般的である。低温で醸造するとトロピカルフルーツの香りが際立つが、ヨーロッパではそのようなスタイルには重きをおかないためである。シュナン・ブランは、スキンコンタクトやマセラシオンによってワインに複雑性を持たせるフェノール類を抽出することとも相性が良い。スキンコンタクトによって、シュナン・ブランに特有のセイヨウスモモやアンゼリカの香りが引き出される。シュナン・ブランは強い酸味を持つが、マロラクティック発酵を行うことによって和らげることができ、そのようなワインは熟成を経るとクリーミーでリッチな質感を持つようになる。木樽(オーク樽)での熟成を行うかどうかは、生産者によって異なる。新樽を用いるとバニラやスパイス、トーストのような香りが付くが、ヨーロッパでは積極的に用いられることは少ない。他方、ニューワールドではさかんに使われている。サヴィニエールでは、伝統的にアカシアやクリの木で作った木樽で熟成が行われる。樽材としてアカシアを使うとワインの色調は黄色っぽくなり、クリを使うとバターのような香りが足される。
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