都立高等学校改革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 18:23 UTC 版)
2001年(平成13年)以降、石原慎太郎東京都知事によって、「都立復権」をスローガンに都立高等学校改革が実施されている。「小尾通達」により停止されていた進学指導を正式に打ち出し、学区の撤廃、自校作成問題の導入に代表される入試制度改革、進学指導重点校・進学指導特別推進校・進学指導推進校の指定がされた。これらの改革が功を奏し、都立高等学校の東大現役合格者数をはじめとする進学実績は上昇傾向にあり、2007年度には独自入試や45分7時間制の導入などの改革を進め「都立復権」の象徴ともいわれる日比谷高校が東京大学に28名の合格者を輩出などして話題となった。なお日比谷高校は2010年度に東京大学へ37名、2016年度は53名、2021年度は63名の合格者を出している。 また、都立高校の再編も急速に進み、石原都知事の「下から順番に潰していく」という方針の下に、既存の都立高校統廃合計画がさらに加速され、各地区の中堅校~底辺校の多くが統廃合された。家政科などを中心とした職業科は大多数が廃止されたり、普通科や総合科に統合されたりして、事実上の歴史的役割を終え、定時制課程は2~4部制単独校に再編したり、周辺校定時制課程に統合し閉課・廃止を行った結果、立川高校や町田高校、農業高校のように全日制併設の夜間1部定時制でありながら、在籍生徒が300~400名程度の大規模な定時制も生まれることになった。 一方、2019年(令和元年度)の都立高校入試で、日比谷高校が初めての二次募集を行ったり、高校授業料の実質無償化の私立高校への適用が始まった2020年(令和2年度)の都立高校一般入試では、全日制171校のうち47校が定員割れを起こしたりする事態が発生し、私立中高一貫校をはじめとした私立高校との競合が増えている。中学受験の評論家おおたとしまさは、うのき教育学院の岡充彦の弁である「『都立復権』というのは『日比谷・西(・国立)復権』ということなのであり、都立高校全般を正しく評しているわけではありません」「都立上位校といえども難関大学の合格実績においては中学受験における中堅難易度の学校と同程度」との指摘を引用し、学校の格付に関する評論家島野清志は、私立高校の無償化に伴う公立高校離れを指摘している。
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