避雷器の安全規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 04:33 UTC 版)
避雷器には、いざというときには大電流をバイパス、自身は故障して他の部分や機器を保護する責務がある。このため「安全に故障する」ことは、避雷器の重要な性能のひとつである。従来、避雷器についてはその純電気的な部分、すなわち定格範囲においていかに電圧を抑制するかが重視され、定格を超えるサージ処理を行った際に生じる避雷器の発煙・発火等については、これを収める容器などによって、使用者側で適宜対応、防護することとされてきたが、雷サージの大きさが解明され、避雷システムの中で、避雷器に処理させるサージの大きさが定まった現在、例えば2018年現在のUL規格では、避雷器そのものに具体的な防護機能を求める数値化された安全規定となっている。避雷器の別により詳細な数値規定があるが、基本的にはいずれも防火と感電防止、また火傷防止に関する規定であり、避雷器に切り離し装置を内蔵した場合でも外置きとした場合でも、その遮断器あるいはヒューズ等のSCCRを、想定される最悪電流値を超えるものとして、発煙・発火させないこと、各電極を最悪時でも確実に保護し、感電事故に至らせないこと、また避雷器の温度上昇を規定以内として火傷防止すること等が求められ、これらは公的にも規制されている。 日本の場合、JISにおいてこれらの詳細な安全規定はなく、公的な規制もないが、危険であることに違いはないから、避雷器を確実に避雷システムの中で使用し、最悪の場合でも最悪の事故に至らぬようにするため、日本雷保護システム工業会(JLPA)は、広報と併せ、不足している専門技術者の育成を図り、雷保護製品等の品質、性能等について社会的信頼性の向上を図るといった活動をおこなっている。また、あくまでも民間検定で法的効力はないが、特定非営利活動法人による「雷保護システム技能者」の養成なども行われるようになり、合わせて世界標準の、設計からアフターケアまで一貫した「人的システム」構築の模索が始まっている。
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