避難誘導訓練の不徹底
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
「千日デパート火災」の記事における「避難誘導訓練の不徹底」の解説
本件火災後に大阪市消防局がプレイタウン従業員の生存者39人(ホステス21人、ボーイ8人、従業員5人、バンドマン5人。1階にいた者も含む)に対して「非常口」について聞き取り調査をおこなったところ、「プレイタウンの非常口(階段A、B、E、Fの各出入口)を知っていたか」との問いに「全部知っていた」と答えたのは28パーセントであり、「一部だけ知っていた」と答えたのは約半数の52パーセントで「全く何も知らなかった」と答えた人が18パーセントいた。「一部だけ」と答えた人のうち「B階段を知っていた」と答えた人が92パーセントいて、「全部知っていた」と答えた人を合わせれば、その認知度は全体で74パーセントである。ホステスについては「B階段を知っていた」と答えた人が約85パーセントと圧倒的に多かった。これは退勤時にエレベーターが混雑するからとB階段を使用するように推奨されていたことが影響していると考えられた。またホステス更衣室に直結した「E階段を知っていた」と答えたホステスは100パーセントだった(ホステス21人中の全員)。普段から使用しているとか、持ち場や休憩所に直結しているなど、自分にとって関心がある階段出入口は認知度が高いのである。従業員の間では認知度が高い「B階段」であったが、結局は実際に同階段から脱出に成功したのはわずか2人だけであり、たとえその存在を知っていたとしても階段の構造を熟知し、そのうえで適切な避難誘導と日頃からの避難訓練が伴わなければ、せっかくの安全な避難階段も役に立たないのである。新規採用が多く、従業員の入れ替わりが激しい風俗店では、店内に詳しくない者が多くいるのは当然であり、ましてや一見客ともなれば何も判らないのであるから、非常口のありかを明確化しておくことは防災管理の基本である。したがってプレイタウンの防火責任者が責務を果たさず、消防当局の指導に従わなかったことが被害を拡大させた一因であると考えられる。
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