選挙の実施
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 06:11 UTC 版)
1979年、直接選挙による初めての欧州議会議員選挙が実施された。選挙が実施されたことで、任命制となっている欧州評議会の議員会議や汎アフリカ議会といった地域規模での議会組織と一線を画することとなった。第1回の選挙後、1979年7月11日に新議会の初会合が開かれ、シモーヌ・ヴェイユが議長に選出された。ヴェイユは前身である共同総会の設置以来初となる女性議長であった。 選挙で選出された組織として、欧州議会は欧州諸共同体の機能を提言するようになっていった。1984年にはかつて手がけた欧州政治共同体にならって「欧州連合設立条約案」(スピネッリ構想)を起草した。条約案は欧州議会で可決されただけに留まったものの(各国議会は拒否)、その構想はのちの基本条約に取り込まれていった。さらに欧州議会は1980年代から、法的拘束力は持たないものの、欧州委員会委員長人事案に対して採決を行うようになっていった。 選挙が実施されるようになると、ドイツの再統一や加盟国の増加にあわせて欧州議会の議員数もまた増えていった。このような状況を受けてニース条約で、議員数の上限を732に制限した。 ほかの機関と同じく、欧州議会はその所在地が定められていなかった。欧州委員会や理事会はブリュッセルに置かれた一方で、暫定的な取り決めでは欧州議会をストラスブールに置くことが定められていた。1985年に欧州議会はほかの機関との連携を考え、一部の国からの反発があったものの、ブリュッセルに2つめの議場を建設してそこに活動拠点を移していった。本拠地については1992年の欧州理事会でようやく最終的な合意に達し、それによると欧州議会の正式な所在地はストラスブールとして毎年12回の本会議をそこで開くこととされ、本会議以外の欧州議会の活動はブリュッセルで行うこととされた。このように拠点が2つとされたことは欧州議会の反発を受けたが、のちのアムステルダム条約でそのことが正式に定められた。しかしながら欧州議会の所在地をめぐっては今日に至るまで論争の火種となっている。
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