遷都の類型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 16:03 UTC 版)
遷都や首都移転の例としては、主として以下のパターンがある。 政権の交代に伴い、新政権が最適地と判じる他所へ移転する。 宮廷・wikt:宮城の移転に伴う、事実上の首都移転。 実例 :歴代の皇居所在地が都と見なされる日本の遷都史(cf. 歴代の皇宮)。 旧来の都にあっては影響を受けざるを得ない抵抗勢力や敵性勢力から遠ざかり、権勢的白紙状態にある新都の運営を図る。 実例 :エジプト新王国において、アメンホテプ4世によるアマルナ改革の一環として断行された旧都ネウト(テーベ)の廃棄と新都アケトアテン(アマルナ)への遷都。日本において、既存仏教勢力や貴族勢力と距離を置きたい桓武天皇による平城京から長岡京への遷都。 実権を持つ政権が傀儡政権の都を廃して他所へ移転させる。 実例 :後漢末における、董卓による洛陽から長安への強制的遷都。 政治情勢や経済状況の変化によって最適地が他所に移った場合、移転する、あるいは、移転を余儀なくされる。 領土の縮小や移動に伴う遷都もその典型例と言える。戦線の移動による占領地域の変化によって移転する場合、その多くは敗戦によって強いられたものである。 実例 :金王朝にいったん滅ぼされた後、翌年に再興した宋王朝における、占領されてしまった旧都・東京開封府(開封)から臨安への遷都(南遷)。中華民国(現在の台湾)の遷都史。 国家の分裂による、他所での奠都。 実例 :395年以降にローマ帝国が東西分裂することで興った東ローマ帝国(ローマ帝国東方領土)における、ローマからコンスタンティノポリスへの遷都。 計画都市を造成して遷都する。 実例 :アッバース朝における、クーファから計画都市バグダードへの遷都。日本における、平城京や平安京等への遷都。アメリカ合衆国における、フィラデルフィアから計画都市ワシントンD.C.への遷都。ブラジル(ブラジル連邦共和国)における、リオデジャネイロから計画都市ブラジリアへの遷都。 諸事情によって都の機能が低下したことによる遷都もある。 実例 :日本における、長岡京から平安京への遷都(cf. #怨霊に潰された都)。 前政権の業績を、廃都という形で強く否定する、あるいは、歴史から抹消しようと図る。 実例 :アメンホテプ4世没後のエジプト新王国における、アケトアテン(アマルナ)の廃都とメン・ネフェル(メンフィス)への遷都。董卓没後の後漢における、長安から洛陽への還都。 戦局の変化が著しい場合や、亡命政権が内戦の敗北を認めようとしない場合、臨時首都あるいは軍都のような体裁をとり、正式な首都移転を行わない場合がある。 実例 :中華民国(現在の台湾)における、臨時首都である台北と、現在も正式な首都とされる南京。 複都制の採用や廃止に伴う部分的首都機能移転。 実例 :1153年のセルジューク朝における複都制の廃止と、それに伴うハマダーンへの首都機能の集約。
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