転換確率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/08 03:38 UTC 版)
内部転移は原子核のエネルギー準位間の相違が小さいときに起こりやすく、また対生成によって崩壊するに十分なエネルギーがないときの0+→0+(すなわちE0)遷移による脱励起(このとき励起核は何らかの方法で電磁モーメントを変えることなく自身のエネルギーを取り去ることができる)の主要なモードである。これはスピンの始状態と終状態が同じときは常に脱励起の主要なモードであるが、このような場合、非ゼロのスピン始状態及び終状態に対する多極性の規則は必ずしもガンマ線の放出を禁じない。 内部転換に向かう傾向はガンマ放出による電子の放出によって達する脱励起の割合によって経験的に定められた内部転換係数で確定できる。 内部転換過程はガンマ崩壊と競合する。この競合における内部転換の割合はα = e / γと定義される内部転換係数の形式で定量化される。eは転換電子の比率、γは核崩壊によって観測されたガンマ線放出の比率である。たとえば、励起状態のヨウ素125の核の崩壊では、崩壊の放出エネルギーの7%はガンマ線であり、93%は電子に転換されて放出される。このため、ヨウ素125の励起状態はα = 13.6の内部転換係数を持っている。元素番号(Z)が大きくなりガンマ線のエネルギーが小さくなるにつれ、内部転換係数は大きくなることが観測されている。一つの例としてモンテカルロ法を使ってHowell (1992)によって鉄55、ガリウム67、テクネチウム99m、インジウム111、インジウム113m、インジウム115m、ヨウ素123、ヨウ素125、白金193m、タリウム201、鉛203についての内部転換係数が明確に計算された。たとえば鉄の場合内部転換係数はゼロである。 ガンマ線放出エネルギーは核崩壊の励起状態の間のエネルギー差の正確な基準と同様にみなされる。しかし、これは電子の転換の場合は正しくない。電子転換のエネルギーは E = (Ei − Ef) − EB の数式のようになる。この数式においてEiとEfはそれぞれ最初と最後の状態の核のエネルギーで、EBは電子の結合エネルギーである。
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