路線の設備での問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:56 UTC 版)
「JR福知山線脱線事故」の記事における「路線の設備での問題」の解説
当該事故発生前の現場周辺は、運行本数が多く速度も比較的高速な大都市近郊路線であるにもかかわらず、速度照査用の自動列車停止装置設備が設置されていなかった。JR東西線では開業時から全線でATS-Pが設置されていたが、福知山線においては付け替え区間も含めてATS-Pは当初設置されず、旧来のままとされた。 元々、福知山線では信号機に対する自動列車停止装置として、ATS-Pの代わりに、絶対停止機能と速度照査機能(点速度照査方式)のなかった従来の国鉄型ATS-S形の上位互換機種であるATS-SW形が設置されていたが、速度照査を行うには速度照査用の地上子が必要だったものの、該当区間には速度照査用地上子(SW照査子)が設置されておらず、事故前には速度照査は実施されていなかった。 旧国鉄時代からJR東西線が開業するまで、福知山線は上下線とも東海道本線へのアプローチが尼崎駅西側の外側線(列車線)に接続されていた。旧下り線は尼崎駅を出たあと東海道本線の南に分岐しそこから東海道本線を回り込む形で北上し現在のルートを通り現場のマンションの北側から直進していたが、旧上り線はそのままほぼ直進して南下し東海道本線の外側線に接続していた。のち、福知山線はJR東西線との直通運転を開始するにあたり、上下線ともに内側線(電車線)に接続させる必要が生じたことから大掛かりな線路の付け替えが行われ、特に上り線は、下り線に併設されていた尼崎市場への貨物線跡地などを利用した新しいルートを通ることとなり、現在に至っている。ただ、結果として、それまでより曲線半径が小さくなった。カーブでは高速運転をするためにカントを付けるが、現場は緩和曲線が短く、カントは上限105 mmより少ない97 mmなので、その分制限速度が5 km/h低くなっていた(半径300 mでカント105 mm(上限値)での制限速度は75 km/h。なお、従前の「本則」では60 - 65 km/h)。 現場のマンションはこの上り線の旧線跡の一部を利用して建てられたものである(2002年竣工)。
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