資本主義の“富の集中と貨幣の回転の阻害”の克服
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 19:53 UTC 版)
「進歩的活用理論」の記事における「資本主義の“富の集中と貨幣の回転の阻害”の克服」の解説
サーカーによれば「資本家(ヴァイシャ)の心理は貨幣の回転から利益をあげることにあり、貨幣の投資が期待するほどの利益をもたらさないと見れば、投資を引き上げ、貨幣の回転をストップし、不活性にする。そこには、投資、生産、収入、購買力がなく、この事態は危険であり、商品の購買力が低下するほど事態は深刻なものとなる。 経済の領域においては二つのことが非常に重要である。第一に、貨幣の循環を維持しなくてはならない事で、貨幣が購買力として活用されないときや滞留したままであるとき、経済はダメージを受ける。第二は、貨幣が経済的な均衡と安定を図る能力を失うと富の不均衡を引き起こすということである。この二つの根本的な要素を少しでも忘れると、世界規模の経済恐慌が起こる。 もし国家資本主義が搾取する事を追求せず、一人ひとりの個人の収入を増加させるならば、私たちは国家資本主義を称賛せざるをえません」。 “現在の資本家”の最たる存在は、国際的な投資家、機関投資家(その実態は“投機”を行っていて、どちらも実際は“投機家”、“機関投機家”)だが、このような投機勢力がヘッジファンドなどで投機を行い、資金が供給され、バブル経済になりながらも東南アジア各国は潤っていたが、投機が儲からないと見るや、一斉に資金を引き上げ、バブルがはじけ、東南アジア各国に深刻な経済的ダメージを与えた。また、日本も1980年代末の土地投機によるバブル景気の発生とその崩壊によって、失われた10年を経験したことなどもこれが現れた例である。 サーカーは投機の害悪性には触れなかったが、バトラは自身のいくつかの著書の中で投機の害悪性について触れ、投機を排除する政策をプラウトに加えている。 このような“現在の資本家”に富が集中する社会であればあるほど、“貨幣の回転”につながる彼らの投資や購買行為の有無の経済的影響力は大きくなっていき、彼らから投機などによって富が吸い上げられ、常に低い賃金水準に置かれている一般大衆(労働者、シュードラ)の購買の経済的影響力は小さくなっていき、“貨幣の回転”は彼ら次第という側面が大きくなるわけである。しかも、彼らはその地域が必要だから投資をするのではなく、投機で儲かるから行うだけである。そして儲からないようになれば一斉に投資を引き上げる。それが“貨幣の回転”を不安定にさせ、不確実にする。そして、バブルや不況や恐慌の原因になる。 その解決策として、プラウトは一般大衆(労働者)の購買力の強化のために、最低限の生活必需品と最大限の快適性の保障という政策をネオヒューマニズムの観点からもおこなう。そして、富の分配方法は必要性や福利にもとづいた合理的分配という方針の下でおこなう(プラウトの基本政策 の項で詳述)。
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