貨幣と地域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 10:19 UTC 版)
貨幣には地域内での使用と、地域を越えた交易での使用があり、内外で異なる貨幣が定められる場合がある。地域内の貨幣は小額で周期的であり、貿易の貨幣は高額で非周期的となる。18世紀のムガル帝国治下のベンガルでは、穀物の先物取引ではルピー銀貨を用い、地域内の市場で穀物を買う時には小額取引に適した貝貨を使った。さらに、納税と穀物取引では異なるルピー銀貨を使った。 現在では1国1通貨の制度が普及しており、これは国際金本位制に起源を持つ。それ以前は、貿易用の貨幣は発行者の国を超えて複数の国や地域で流通した。古代ギリシャのドラクマ、中世イスラーム世界のディナールやディルハム、中国の宋銭、貿易銀と呼ばれるラテンアメリカのメキシコドルやオーストリアのマリア・テレジア銀貨がそれにあたる。現在は国際決済に多く使われる国際通貨や基軸通貨と呼ばれる貨幣がある。異なる地域が通貨を共有する通貨同盟や経済通貨同盟もある。 1国1通貨の制度が普及する以前は、地域内で流通する地域通貨も多数存在した。穀物や家畜を使った各地の物品貨幣や、日本の伊勢神宮の所領を中心とした山田羽書、中国の民間紙幣である銭票などが知られている。地域通貨が政府や民間業者の保証なしに流通する場合は、地元で取引される商品の販売可能性によって成り立っていた。
※この「貨幣と地域」の解説は、「貨幣史」の解説の一部です。
「貨幣と地域」を含む「貨幣史」の記事については、「貨幣史」の概要を参照ください。
- 貨幣と地域のページへのリンク