貨幣と使用者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 10:19 UTC 版)
身分や性別によって特定の貨幣が使われる場合もある。ロッセル島にはンダップという男性用の貨幣とンコという女性用の貨幣があり、ンダップは23種類、ンコは16種類の異なる価値を備えていた。サモアには女性が生産するトガ財(編みゴザ、ヤシ油等)と男性が生産するオロア財(豚、武器等)があり、交換手段の貨幣が浸透するとオロア財が優先して貨幣で買えるようになった。トロブリアンド諸島では、クラ交易に用いるクラ財は貨幣で買えないが、クラ財と交換できる豚やヤムイモは貨幣で買える。このため、女性や若者など貨幣収入を得やすい者がクラ交易への影響を強めた。 後払いの決済であるクレジットカードでは、個人の信用情報をもとに使用可能であるかを決定する審査がある。IT技術にもとづく決済仲介システムでは、取引情報が社会信用システムに活用されて、個人や企業への融資を評価するサービスも行われている。仮想通貨のビットコインでは非中央集権のシステムを運用しており、識別情報がない。 貨幣には装飾的、儀礼的、呪術的な素材も見られ、宗教的背景を持つ場合もある。古代中国ではタカラガイが豊産や死者の安寧と結びつけられて神聖とされ、貝貨となった。アフリカのドゴン族の神話では貝貨には生きた力があり、取引をする人間の力に対応している。そして市場での貝貨を使った交換は、言葉の交換に対応すると見なされた。死者の埋葬に使う冥銭という習慣もある(後述)。
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