諸判例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 02:33 UTC 版)
消費貸借契約の当事者間で、利息について定められた弁済期にその支払がない場合に延滞利息を当然に元本に組み入れ、これに利息を生じさせる約定(いわゆる重利の予約)は、有効であり年数回の利息の組入れを約する重利の予約は、毎期における組入れ利息とこれに対する利息との合算額が、本来の元本額に対する関係において、1年につき利息制限法所定の制限利率により計算した額をこえない限度においてのみ有効である(昭和45年4月21日判決民集第24巻4号298頁参照)。 無尽契約は金銭貸借の契約ではないから旧利息制限法の適用はない(最高裁昭和29年7月13日判決 集民第15号147頁参照)。 利息制限法は、金銭貸借の場合に限り適用されるから、再売買予約付の売買には適用がない(最高裁昭和39年10月16日判決集民第75号819頁参照)。 利息制限法に違反しても出資法の制限を越えなければ消費貸借自体が無効とならない(最高裁昭和27年3月6日判決民集第6巻3号320頁、最高裁平成20年6月10日民集第62巻6号1488頁参照)。 旧利息制限法の制限外利息債権を被担保債権として抵当権設定の登記請求をすることは許されない(最高裁昭和30年7月15日判決民集第9巻9号1058頁参照)。 準消費貸借契約にも利息制限法が適用される。また、債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息、損害金を支払つたときは、制限をこえる部分は、民法491条によりこれを順次、費用に充当され、利息、遅延損害金の弁済に充当されのちに元本に充当される(最高裁昭和40年6月24日判決集民第79号503頁、最高裁昭和43年10月29日判決民集第22巻10号2257頁、昭和44年11月25日民集第23巻11号2137頁参照)。 当事者間において将来金員を貸与することある場合、これが準消費貸借の目的と約束し、その後該債務が生じたとき、その準消費貸借契約は当然に効力を発生する(最高裁昭和40年10月7日判決民集第19巻7号1723頁参照)また、利息制限法所定の制限利率を超過する利息部分を準消費貸借の目的としても、その効力を生じない(最高裁昭和55年1月24日判決集民第129号81頁参照)。 旧利息制限法のもとにおいては、最高裁39年11月18日大法廷判決民集18巻9号1868頁の判例変更の適用は受けないため債務者によって利息として任意に支払われた金員が、同法所定の利率による金額を超えている場合であっても、超過分を元本の弁済に充当されない(最高裁昭和43年6月27日判決集民第91号511頁参照)。 即時両建預金を取引条件とする金融機関の貸付が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19条に違反する場合でも、その違反により、貸付契約が直ちに私法上無効になるとはいえず、また、契約が公序良俗に反するともいえないが、両建預金及び超過貸付があるために実質金利が利息制限法所定の制限利率を超過しているときは、超過する限度で貸付契約中の利息、損害金についての約定は、同法1条、4条により無効になる(最高裁昭和52年6月20日判決民集第31巻4号449頁参照)。 利息制限法所定の制限をこえて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権は、その消滅時効の期間は10年である(最高裁昭和55年1月24日民集第34巻1号61頁)。
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