語源的意味と慣用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/20 19:53 UTC 版)
「Rhapsode」という言葉は、「歌を一つに縫い合わせる」という意味のrhapsoideinと関連がある。この言葉は口承の叙事詩、つまりrhapsodeが、どのようにしてその中で、さまざまな神話・伝説・ジョークのレパートリーを組み立てたのかを表している。エポス(epos、叙事詩)の内容を、経験と即興の技術で、土地土地の観客の好むものに変更することは可能だったが、外枠はいつも歌っているものと同じで、徳や栄誉といった基本のテーマは保たれていた。しかし、初期の叙事詩にはこの言葉は見つからず、代わりにアオイドス(歌手)という言葉が、この仕事を含むすべてのジャンルの表現者に対して用いられていた。ヘーシオドスや『イーリアス』、『オデュッセイア』の作者(たち)がラプソドスを認め・受け入れたかはわからない。ヴァルター・ブルケルトは、「ラプソドスは定着した・書かれたテキストの朗読者である」と定義したことがあり、数人の研究者もそれに賛同した。 「ラプソドス」という言葉が使われ出したのは、ピンダロス(紀元前6世紀 - 紀元前5世紀)の頃からで、ピンダロスはそれを「編まれた詩の歌い手」または「杖を持った歌い手」と異なった意味で用いていた。このうち、前者は語源的にみて正しい(より正しいのは「詩を編む者」)が、後者は、ホメーロスの集会における笏のように、聞くことに対する権利の象徴として、朗読者が手に杖(rhabdos)を持つのが習慣だったという古い事実を示唆している。この語源的意味が興味深いのは、口承の詩人たちがそうやっていたことの的確なメタファーだからである。口承の詩人たちは上演のたびごとに常套句や詩行、典型的な場面(テーマ)を編んでいた。ピンダロスなどの著作には、口承の叙事詩が紀元前5世紀にもまだ存続し、人気があったことが暗示されている。しかし、それ以降の文献によると、ラプソドスたちは書かれたテキストを読み、場合によっては、そうするよう法律で強制されていた。
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