計測機器・実用公式の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:21 UTC 版)
18世紀から19世紀にかけては、先のような理論的な流体力学と同時に、現場からの要請にこたえるべく経験的・実験的な水理学の発展があった(実験水理学)。 計測機器の点で言えばアンリ・ピトーによるピトー管の発明(流速の測定)、ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴェンチュリ(英語版)によるベンチュリー管の発明(流量の測定)が挙げられる。 また、以下のように18世紀までに実験データがある程度蓄積され様々な実験公式が提案されたことにより、現場に適用されるようになった。 アントワーヌ・シェジー パリの水道設計を行い、管路の抵抗則シェジー公式を提案した。 ジャン=シャルル・ド・ボルダ 急拡管の実験を行いボルダ=カルノの公式を発見、またオリフィスの設計も行った。 シャルル・ド・クーロン フランスで河川管理を行い、また粘性流体について研究した。 ジャン=バプティスト=シャルル=ジョセフ・ベランジェ(英語版) 水面形方程式やベランジェの定理と呼ばれる限界水深に関する定理を発見した。 ガスパール=ギュスターヴ・コリオリ コリオリ数と呼ばれるエネルギー補正係数を考案した。 ゴットヒルフ・ハーゲン、ジャン・ポアズイユ 2人はそれぞれ独立に、円管の層流公式ハーゲン・ポアズイユ流れを発見した。 アデマール・ジャン・クロード・バレー・ド・サン=ブナン(英語版) 波の伝播速度や開水路の抵抗則についての公式を提案した。 ヘンリー・ダルシー 地下水の流れに関するダルシーの法則や、ダルシー・ワイスバッハの式を後述のワイスバッハとは独立に提案した。 ジュール・デュピュイ 開水路における水面形方程式の研究をした。 ユリウス・ワイスバッハ ダルシー・ワイスバッハの式をダルシーとは独立に提案した。 ジャック・アントワーヌ・シャルル・ブレス 水面形方程式について研究し、ブレスの背水公式を提案した。 ウィリアム・フルード 相似則について研究を行い、フルード数を提案した。 ロバート・マニング 等流開水路の平均流速公式であるマニング公式を提案した。 これらの研究により、水理学の実用面に関する基本原理がほぼ確立し、特に、管路の抵抗と開水路の水面形が実験的・経験的とはいえ計算できるようになったことが大きな成果であった。
※この「計測機器・実用公式の開発」の解説は、「水理学」の解説の一部です。
「計測機器・実用公式の開発」を含む「水理学」の記事については、「水理学」の概要を参照ください。
- 計測機器・実用公式の開発のページへのリンク