解の公式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/22 16:17 UTC 版)
解の公式(かいのこうしき)は、方程式の解を何らかの方法で方程式に現れる(係数などの)データのみを用いて明示的に書き表す公式のこと。視点の違いにより、零点公式、根の公式などとも。
- 代数方程式の場合は、代数方程式#解の公式を参照。各次数での具体的な取り扱いは二次方程式の解の公式や二次方程式#解の公式、三次方程式#カルダノの方法、四次方程式#フェラーリの方法なども参照。
解の公式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 01:43 UTC 版)
以下、解の公式の概要を示す。詳しい内容についてはそれぞれの記事を参照されたい。 一次方程式:一次方程式は係数体 K に依らず K の中で常に解ける。 一次方程式 a x + b = 0 {\displaystyle ax+b=0} ( a , b {\displaystyle a,b} は実数, a ≠ 0 {\displaystyle a\neq 0} )の解 x {\displaystyle x} は、 x = − b a {\displaystyle x=-{\frac {b}{a}}} と表せる。 二次方程式 詳細は「二次方程式の解の公式」を参照 標数が 2 でない体上の二次方程式 ax2 + bx + c = 0 は基礎体 F に係数 a, b, c と判別式 D = b2 − 4ac の正の平方根を添加した体 F(a, b, c, √D) の中で解けて、その根は − b ± D 2 a {\displaystyle {\frac {-b\pm {\sqrt {D}}}{2a}}} で与えられることが知られている。 二次方程式 a x 2 + b x + c = 0 {\displaystyle ax^{2}+bx+c=0} ( a , b , c {\displaystyle a,b,c} は実数, a ≠ 0 {\displaystyle a\neq 0} )の解 x {\displaystyle x} は、 x = − b ± D 2 a {\displaystyle x={\frac {-b\pm {\sqrt {D}}}{2a}}} と表せる。ただし、 D = b 2 − 4 a c {\displaystyle D=b^{2}-4ac} 三次方程式 三次方程式 ax3 + bx2 + cx + d = 0 の代数的解法はカルダノの公式として知られるように、ω を 1 の虚立方根、D を三次方程式の判別式のこととして、Q(a, b, c, d, ω, √D) から適当な元 ξ1, ξ2 を選べば、Q(3√ξ1, 3√ξ2, ω) の中で解くことができる。 三次方程式 a x 3 + b x 2 + c x + d = 0 {\displaystyle ax^{3}+bx^{2}+cx+d=0} ( a , b , c , d {\displaystyle a,b,c,d} は実数, a ≠ 0 {\displaystyle a\neq 0} )の解 x {\displaystyle x} は、 x = { − q 2 + ( q 2 ) 2 + ( p 3 ) 3 3 + − q 2 − ( q 2 ) 2 + ( p 3 ) 3 3 − b 3 a ω − q 2 + ( q 2 ) 2 + ( p 3 ) 3 3 + ω 2 − q 2 − ( q 2 ) 2 + ( p 3 ) 3 3 − b 3 a ω 2 − q 2 + ( q 2 ) 2 + ( p 3 ) 3 3 + ω − q 2 − ( q 2 ) 2 + ( p 3 ) 3 3 − b 3 a {\displaystyle x={\begin{cases}{\sqrt[{3}]{-{q \over 2}+{\sqrt {\left({q \over 2}\right)^{2}+\left({p \over 3}\right)^{3}}}}}+{\sqrt[{3}]{-{q \over 2}-{\sqrt {\left({q \over 2}\right)^{2}+\left({p \over 3}\right)^{3}}}}}-{b \over 3a}\\\omega {\sqrt[{3}]{-{q \over 2}+{\sqrt {\left({q \over 2}\right)^{2}+\left({p \over 3}\right)^{3}}}}}+\omega ^{2}{\sqrt[{3}]{-{q \over 2}-{\sqrt {\left({q \over 2}\right)^{2}+\left({p \over 3}\right)^{3}}}}}-{b \over 3a}\\\omega ^{2}{\sqrt[{3}]{-{q \over 2}+{\sqrt {\left({q \over 2}\right)^{2}+\left({p \over 3}\right)^{3}}}}}+\omega {\sqrt[{3}]{-{q \over 2}-{\sqrt {\left({q \over 2}\right)^{2}+\left({p \over 3}\right)^{3}}}}}-{b \over 3a}\end{cases}}} と表せる。ただし、 { p = − 1 3 ( b a ) 2 + c a q = 2 ( b 3 a ) 3 − b c 3 a 2 + d a ω = − 1 + 3 i 2 {\displaystyle {\begin{cases}p=-{1 \over 3}\left({b \over a}\right)^{2}+{c \over a}\\q=2\left({b \over 3a}\right)^{3}-{bc \over 3a^{2}}+{d \over a}\\\omega ={-1+{\sqrt {3}}i \over 2}\end{cases}}} 四次方程式 四次方程式 ax4 + bx3 + cx2 + dx + e = 0 の代数的解法はフェラリの解法として知られる。この解法は完全平方式を利用するもので、具体的には(2次式)2 = (1次式)2 の形に変形して解くことになるが、この変形の過程で三次方程式を解く操作が必要となる。 五次方程式 楕円モジュラー関数を用いた解の公式は複雑なため、概略にとどめる。チルンハウス変換(英語版)により、五次方程式は x5 − x − A = 0 と変形される(五次方程式の一般形)。一方、楕円関数の 5 次の変換により得られるモジュラスの 4 乗根は、モジュラー方程式と呼ばれる六次方程式となる。この方程式は、チルンハウス変換により y5 + y − B = 0 の形に変形される(B は楕円関数の種数の 4 乗根の代数的表現となる)。すなわち、五次方程式の一般形とモジュラー方程式の係数同士の比較は、四次方程式となる。一方モジュラー方程式の解は、楕円関数の 2 つの周期比の指数関数を用いた無限級数(楕円モジュラー関数)で現されるため、楕円モジュラー関数により 五次方程式の公式が得られる。 超幾何級数を用いた解の公式は、クラインにより示された。概略としては、正二十面体方程式の解が超幾何級数で示されること、および正二十面体方程式がチルンハウス変換により五次方程式の一般形に変形できることにより、導かれる。
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