装飾と碑文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 08:42 UTC 版)
追加で彫刻が施された多くの上石が発見されているが、装飾は必ずしも実用的な機能目的と切り離せるほど単純ではない。デザインは円運動時の上石の外観に注ぎ込まれており、種子を粉末に変える(ある種の変容魔法のような)石臼の機能がこの家庭用物品に敬意とステータスの両方を生じさせているのかもしれない。アイルランドで発見された3つの蜂の巣型挽き石臼にはラ・テーヌ調の装飾が彫られており、イングランドやウェールズ出土品にもその例がある。差込み取っ手が付いた手挽き石臼の多くは、もの入れや挽き手の差込穴を囲むモチーフの基本パターンに沿った装飾となっている。一部にはもの入れを囲む不規則パターンの装飾がされた石臼もある。 スコットランドのドゥナドでは上石に十字架が彫られた挽き石臼が発見された。 その十字架は、起源をさかのぼると最終的には5世紀や6世紀のローマおよびビザンチンの前身に形状の由来がある。この石臼は「コスト」を反映して、その象徴的価値および社会的意義を高めた高品質な仕上がりがされている。 この十字架は、トウモロコシや結果生じる粉末をサビキン目や麦角菌などの悪者から「保護する(魔除け的な)」ためだった可能性がある。 様々な伝説が石臼に奇跡的な力を与えて、埋葬用の石棺や墓石として再利用されたものが幾つか見つかっている。石臼と埋葬の関係は、生活の主食であるパン作りの工程で使用されることに恐らく理由があり、そのため壊れたり使われていない石臼が死の象徴と見なされた可能性がある。アイルランドオファリー県アスローン近辺のクロンマクノイズ(en)では、墓石に作り替えられた石臼が発見され、そこには装飾のほか人物名Sechnasachが西暦928年に死去と彫られていた。アイルランドにあるスカー湖の湖上住居(クランノグ)で大型の石臼が発見された。
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