衆議院提出の改正案の内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/30 17:56 UTC 版)
「臓器の移植に関する法律」の記事における「衆議院提出の改正案の内容」の解説
いわゆるA案(2006年3月31日第164国会衆法第14号)提案者は、中山太郎(自民党)、河野太郎(自民党)、福島豊(公明党)ほか衆議院議員計6名 改正内容は、年齢を問わず、脳死を一律に人の死とし、本人の書面による意思表示の義務づけをやめて、本人の拒否がない限り家族の同意で提供できるようにする。 利点は、家族の同意があれば、子供から子供への臓器移植が可能になること。 問題点は、脳死を一律に人の死とすることに抵抗が根強いこと、親の虐待を受けて脳死になった子から親の同意で提供されて虐待の証拠が隠滅される懸念があること、脳の回復力が強い乳幼児の脳死判定基準が確立していないこと。 いわゆるB案(2006年3月31日第164国会衆法第15号)提案者は、石井啓一(公明党)ら衆議院議員計2名 改正内容は、臓器移植の場合のみ脳死を人の死とすることは変えずに、年齢制限を現在の15歳以上から12歳以上に引き下げる。 利点は、死の概念を変えなくてすむこと、本人の意思を必要としたまま対象の拡大ができること。 問題点は、12歳未満の臓器移植に対応できないこと。 いわゆるC案(2007年12月11日第168国会衆法第18号)提案者は、阿部知子(社民党)、枝野幸男(民主党)、金田誠一(民主党)の衆議院議員3名 改正内容は、臓器移植の場合のみ脳死を人の死とすることや書面による意思表示要件は変えずに、脳死判定基準を明確化(厳格化)するとともに、検証機関を設置する。年齢制限の変更は法案内容に含まれていない(変更しない)。 利点は、移植の客観性や透明性を高めることができること。 問題点は、臓器移植が進まない現状の改善ができず、15歳未満の臓器移植の対応できないこと。 いずれの議案も否決される可能性があるため、多くの議員の賛同を得るべく、折衷案(いわゆるD案)が2009年5月に提出された。しかし、AからCの各案の賛同議員から折衷案に対する反対意見も述べられた。 いわゆるD案(2009年5月15日第171国会衆法第30号)提案者は、根本匠(自民党)、笠浩史(民主党)ほか衆議院議員計7名 改正内容は、15歳未満の臓器提供について、家族の代諾と第三者の確認により可能とする。臓器移植の場合のみ脳死を人の死とすることや15歳以上の臓器提供手続については、法案内容に含まれていない(変更しない)。 利点は、死の定義を変えることなく15歳未満にも移植の可能性を開くことができること。15歳未満については第三者による確認が確保されること。 問題点は、15歳以上について本人の意思確認が必要で臓器移植が進まない現状の改善ができないこと。15歳未満について家族に承諾するか否かの困難な判断を迫ることになること。 移植を必要とする患者団体などからは、一刻も早いドナーの拡大を求められているが、交通事故の遺族団体などからは、ドナーを拡大するためだけの改正には反対の声がある。
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