藩の経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 09:48 UTC 版)
江戸時代における藩の経済は、表向きは兵農分離と石高制の原則に基づいた自給自足的な体制(藩閉鎖経済)によって運営されていたが、実際の幕藩体制において、全ての物資を自給自足可能な藩は存在せず、加えて参勤交代や御用普請などの公儀(江戸幕府)の命令に基づく事業を遂行するためには、全国的な貨幣である幕府発行正貨の調達と中央市場への依存が不可欠であった。 そこで、藩は年貢米や特産品を江戸や大坂にて売却してその代金(幕府発行正貨)あるいはそれを以って購入した必要物資を国許あるいは江戸屋敷に送金して経費にあてた。こうした取引は循環的かつ継続的に毎年繰り返されるが、正貨獲得時期と正貨支出時期が一致するとは限らず、正貨獲得以前に支出を要する場合には、販売予定の年貢米や特産品を担保として有力商人(特に蔵屋敷に出入りする蔵元や掛屋)から金銀を借りて、実際に入ってきた年貢米や特産品を以って返済することになる。 大名貸は、言うなれば、石高制・儒教的農本主義に基づく米納年貢制による歳入制度と商品経済・貨幣経済の発展によって信用経済の発生まで見ていた貨幣制度による歳出制度の矛盾を補完する制度であった。
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