落語界における師弟関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 13:03 UTC 版)
落語界では師匠は弟子について一切の生殺与奪権を持っている。というよりも弟子は師匠の所有物である。そのため、弟子が真打になる前に師匠を欠いた場合(師匠が死亡した場合、師匠自身が破門された場合、師匠が協会から離脱した場合など)には、新たな師匠(大抵は兄弟子だが、一門外の落語家のもとに移籍する場合もある)のもとに移籍するが、それでも見つからない場合は廃業となる。また、師匠の一存で、いつでも弟子を破門することができる。その場合、その瞬間から弟子は落語界から追放され、落語家でなくなるばかりでなく、芸能界全体から追放され、芸能人でもなくなる。放送などのスケジュールがどんなに埋まっていてもすべてキャンセルしなければならない。また、所属事務所は追放された弟子との専属マネジメント契約を即時に解除する(そのような例は過去に複数ある)。 師弟の人間関係は(特に弟子が前座時代は)極めて濃密なものとなる。この関係を精神的ホモセクシュアルと評したのは、小説家で落語家の立川談四楼である。前座時代の弟子は、寄席で下働きを行うほかに、そのスケジュールが組まれていても組まれていなくても、毎日、朝早く師匠の家に行き掃除など家事全般を行わなくてはならない。家事も落語修業とみなされる。 落語界では上下関係は一門を越えて共通で、師匠は「落語界全体にとっての師匠」、弟子は「落語界全体にとっての弟子」という一面を持つ。そのため能や狂言とは異なり、弟子は自分の師ではない別の一門の落語家に落語を指導してもらっても良い(ただし事前に、本来の師からの了承が必要)。そのときの条件は本来の師から教えてもらうときと同様、つまり無料である。別の一門の先輩落語家を何と呼ぶかは以下参照。 演芸では各種の敬称は次の通り。 講談講談界内部での敬称 その講談師が入門したときに、すでに真打に昇進していた講談師に対しては「先生」、そうでなければ「姉さん(あねさん)」「兄さん(あにさん)」。 外部からの敬称 真打に対しては「先生」、それ以外は「××さん」 落語落語界内部での敬称 その落語家が入門したときに、すでに真打に昇進していた落語家に対しては「師匠」、そうでなければ「兄さん(あにさん)」。(従って、「自己の入門日」と「相手の真打昇進日」がいつかを知ることは極めて重要となる) ただし、春風亭柳橋 (6代目)と柳家金語楼に対してだけは「先生」 外部からの敬称 真打に対しては「師匠」、それ以外は「××さん」 ただし、春風亭柳橋 (6代目)と柳家金語楼に対してだけは「先生」 漫才・漫談など色物キャリア・年齢一切関係なく「先生」。どんな若手でも「先生」例「林家ペー先生」 お囃子「お師匠さん」(おししょさん)「お姉さん」。
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