荒川河口橋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 08:43 UTC 版)


荒川河口橋(あらかわかこうきょう)は、東京都江東区新木場と江戸川区臨海町の間の荒川(荒川放水路)および中川[1]に架かる国道357号(東京湾岸道路)の2本の橋。首都高速湾岸線の荒川湾岸橋を挟み、上流側に下り線(東行き)、下流側に上り線(西行き)専用の橋が架設されている。 この橋の下流で荒川および中川は東京湾に注ぐ[1]。
概要
荒川の河口から約マイナス1.5キロメートルの地点に位置する[2]上り線の橋は道路橋としては荒川の最下流に架かる橋で、右岸は江東区新木場四丁目、左岸は東京都江戸川区臨海町六丁目となっている。水面からの桁下高さは、24.9メートルある[3]。
歩道は上流側と下流側に併設されている[3](建設以来、下流側の歩道は地上と繋がっていなかったが、2025年3月に歩道橋が完成し、2025年3月27日午後0時をもって開通した[4])。右岸(江東区側)は車道部と同様の勾配だが、レインボーブリッジのような通行制限はなく(詳細はレインボープロムナードを参照)、自由に軽車両の通行ができる橋である。左岸(江戸川区側)の陸上部分は途中から車道と分離して螺旋形状になっている。
橋の管理者は関東地方整備局 東京国道工事事務所で[5]、災害時に防災拠点等に緊急輸送を行なうための、東京都の特定緊急輸送道路に指定されている[6]。
諸元
- 設計 - 東京国道工事事務所
- 橋長 - 840.0メートル[3][7][8]
- 幅員 - 車道11.5メートル×2、歩道4.0メートル(陸側)+2.5メートル(海側)[3]
- 構造 - 7径間連続鋼床版箱桁橋(主径間3径間、側径間2径間×2)[7]
- 竣工 - 1994年(平成6年)[9]
- 開通 - 1996年(平成8年)7月4日[10]
橋の建設
橋は1988年10月設計に着手し[11]、1989年11月28日11時半より橋の起工式が橋建設予定地の左岸側(江戸川区側)にて挙行された[12]。 当橋は下流側にJR京葉線荒川橋梁が平行し、首都高速湾岸線荒川湾岸橋を上り線、下り線の間に挟みこむ形になっている。これらの橋が既に完成していた後に架橋されたため、非常に狭いスペースしか利用できず、また他の橋に影響を与えないようにする必要があったため、コンピュータ管理による大ブロック一括架橋が行われた。また、左岸側の1径間は首都高の葛西ジャンクションのランプ橋が支障したため一括架橋が行えず、河道内に仮設支保工(ベント構台)で支持して送り出し工法を併用しながら施工を行った[13]。 橋は1996年7月4日開通し、開通式が中尾栄一建設大臣や地元関係者ら400人が出席する中挙行された[10]。橋の総工費は370億円であった[10]。
開通3ヶ月後の1日あたりの交通量は39,000台で、1年後の1日あたりの交通量は46,000台であった。この橋の開通により隣接する荒川湾岸橋を初め、荒川に架かる周辺の橋の混雑緩和に寄与した[14]特に葛西橋の交通量は16.5パーセント減少した[15]。
周辺
橋の周辺は水域沿いに都市公園やスポーツ施設が数多くある。
- 夢の島公園
- 葛西臨海公園
- 新左近川親水公園(新左近川)
- 臨海町緑地
- 木材・合板博物館
- 葛西臨海公園駅
- 新木場駅
- 新木場車両基地
- 江戸川区立臨海小学校
- 東京都立紅葉川高等学校
- 東京都下水道局葛西水再生センター
- 新江東清掃センター
隣の橋
脚注
- ^ a b “荒川の終点、海との合流点”. 国土交通省関東地方整備局 荒川上流河川事務所. 2021年12月20日閲覧。
- ^ “荒川下流河川維持管理計画【国土交通大臣管理区間編】” (PDF). 国土交通省関東地方整備局 荒川下流河川事務所. p. 73 (2012年3月). 2014年11月10日閲覧。
- ^ a b c d 橋梁年鑑 荒川河口橋 詳細データ - 日本橋梁建設協会、2014年11月1日閲覧。
- ^ 国道357号東京湾岸道路 荒川河口橋(海側)歩道橋開通のお知らせ
- ^ “企画展「荒川の橋」荒川・隅田川の橋(amoaノート第8号)” (PDF). 荒川下流河川事務所(荒川知水資料館). 2005年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月26日閲覧。
- ^ “特定緊急輸送道路図”. 東京都耐震ポータルサイト (2013年). 2017年3月5日閲覧。
- ^ a b 荒川河口橋の鋼床版き裂補修 (PDF) - 宮地エンジニアリング株式会社ホームページ、2014年11月1日閲覧。
- ^ 宮地技報11号P. 106
- ^ “カラーグラビア” (PDF). 宮地エンジニアリング(宮地技報11号). p. 5 (1995年12月). 2018年7月16日閲覧。
- ^ a b c “江東区新木場と江戸川区臨海町を結ぶ「荒川河口橋」が開通 /東京”. 朝日新聞 朝刊 東京 (朝日新聞社). (1996年7月5日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “湾岸道路建設 荒川またぐ橋の設計始まる 東京荒川区”. 朝日新聞 朝刊 東京 (朝日新聞社). (1988年10月8日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “荒川河口橋、28日に起工式 東京”. 朝日新聞 朝刊 東京 (朝日新聞社). (1989年11月28日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “橋梁事業 荒川河口橋”. 宮地エンジニアリング株式会社. 2014年11月10日閲覧。
- ^ 荒川河口橋 整備効果 - 国土交通省 関東地方整備局 首都国道事務所、2015年8月7日閲覧。
- ^ “荒川河口橋の完成で葛西橋の渋滞3分の1に”. 日本経済新聞 地方経済面 東京 (日本経済新聞社): p. 15. (1996年7月31日)
参考文献
- 寺田喜昭 (1995年12月). “鋼床版箱桁の大ブロック架設(東京湾岸道路 荒川河口橋)” (PDF). 宮地エンジニアリング(宮地技報11号). pp. 106-111. 2018年7月16日閲覧。
外部リンク
- 荒川河口橋整備による具体的効果(国土交通省 首都国道事務所内ページ)
- フォトギャラリー - 国土交通省 関東地方整備局 首都国道事務所
固有名詞の分類
- 荒川河口橋のページへのリンク