艦攻隊の薄暮雷撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 18:00 UTC 版)
この日の朝、索敵に向かった翔鶴の艦偵は6時55分、ラバウルの南西210浬(137度)に「重巡5隻、駆逐艦7隻、大型輸送船2隻(空母に酷似)」からなる敵艦船群を発見、艦偵帰着後、司令部ではこの大型輸送船は空母ではないかとの見方が出たため、瑞鶴の艦偵が9時に発進したが、その後消息を絶ってしまった。このあいだ米空母艦載機の空襲を受けいったん索敵は中断、空襲後改めて実施された索敵で12時55分、同様の敵艦船群をラバウルの南西230浬(145度)に発見した。この目標に対する薄暮雷撃が企図され、触接機として艦攻4機が14時17分から45分にかけて発進、その後攻撃隊の艦攻14機(瑞鶴7機、翔鶴4機、瑞鳳3機)も15時15分に発進、その後触接機は16時35分、40分に相次いで敵艦隊を発見した。タロキナに近いブインの当日の日没は16時32分、すでに日は沈んでおりまた、この日の雲量は10であり曇天であった。攻撃隊もその後17時10分自ら敵艦隊を発見、無照明で雷撃を敢行、帰投した。この攻撃で指揮官機を含む4機が未帰還となった。 大本営は翌日前夜の戦果として「轟沈 大型空母1隻、撃沈 中型空母1隻、大型巡洋艦2隻、巡洋艦(もしくは大型駆逐艦)2隻」とは発表するとともに、この航空戦を「ボーゲンビル島沖航空戦」と呼称すると発表した。しかし実際にはシャーマン隊は損害を受けておらず、日本海軍が攻撃したのはタロキナから魚雷艇PT-167およびLCI(G)(英語版)-70などに護衛されタロキナへの輸送任務を終え、トレジャリー諸島への帰路についていたLCT(英語版)-68などによる輸送船団だった。このうちPT-167とLCI(G)-70に魚雷が命中したが、PT‐167への魚雷は船首部分を貫通して船首部分に大穴を開けたが、水密隔壁にあたる部分であったため沈没をまぬがれ、LCI(G)-70へは4本の魚雷が船体を襲ったが、喫水が浅かったため3本が船底をくぐり、命中した1本はエンジンルームへ入り込み、一時船体の放棄も考慮されたが、この魚雷は不発でありLCI(G)-70も一命を取り留めた。その後LCI(G)-70はLCT-68によって曳航され、傷ついたPT-167とともにトレジャリー諸島へ帰還した。なお、この日触接を実施していた艦攻の報告には空母2隻撃沈との報告はあったが、戦果確認機は特に指定されていなかった。
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