自由市場の原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 21:31 UTC 版)
自由市場を薦める理論的背景には近代における自由主義の発展、成功が存在する。政治的、社会的、思想的な自由の拡大を求めた自由主義の原理が、経済的自由を体現する自由市場の原理につながる。個人にとっての最大の自由がその個人を含む社会のさまざまな意味での最大の利益をもたらすと主張するのが自由主義であり、その理論を経済市場に適用したものが自由市場である。自由な個々人の経済的活動が国家や民衆に最大の利益(効率性)を生み出すとする。この仕組みはアダム・スミスの著書にある表現を用いて「神の見えざる手」と称されることが多い。また自由や自治という人間の本質的願望の方向性を自由市場奨励の理由とする意見もある。 自由市場に伴う問題としては、独占や寡占、情報の偏在による影響などがある。情報が市場に参加するすべての個人ではなく一部の人間にのみ提供される場合、情報を持たざる者は適切な判断を阻害され結果として市場全体もその不利益を被ることがある。インサイダー取引や同業者による価格の協議などが例として上げられる。そのため多くの自由市場ではこのような問題を防ぐための機構が整備されている。例えば日本では独占禁止法などによって規制されている。 自由市場の根本にある、個々人の自由な活動を一単位とする市場の調整機構は民主主義の概念に極めて類似したものである。個人の自由で活発な活動が、社会や国家へも最大の利益をもたらすとする方法論は、政治的、社会的に捉えると民主主義であり、経済的に見るのであれば自由市場とも言える。この意味で自由市場での経済活動は貨幣を媒介としての選挙とも表現できる。すなわち個々人の金銭(票)を適切と考える物品(政治家)に用いる(投票する)と考えられる。この金銭を媒介とする選挙に類似した機構を Dollar Voting (ドル投票、金銭投票)と表現することがある。
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