群衆に対する警備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 01:57 UTC 版)
街頭警備、デモ警備において、馬は非常に柔軟性のある機動力として欧米各国では今でも使われている。 馬は車両ほどの速度は出せないものの車両よりも柔軟な動きが可能で、必要に応じて群集を威嚇することも可能なのである。 雑踏警備や街頭警備においては、馬であれば車両では入れない路地でも入ることができ、歩行者や他の車両を馬自身の判断で避けられると共に、人が歩くほどの低速で移動する事も容易である(オートバイは運転者が制御しなければならないし、自転車と同じで走行時速が10キロを下回ると自立出来ない)。また人の背丈より高い位置から周囲を俯瞰することができる。 群衆のコントロールをしなければならない場面で騎馬警官は特に優れた働きをする。 群集が暴動を起こしかけ、また暴動ではないがある一箇所に殺到する場合では大きな体躯を活かして群集に一定の流れを作り出すことも出来る。何事もないときはただ立って尻尾を揺らしているだけで、その愛らしい姿が人々の心を和ませる。群集は暴徒と化したとき警察車両に対しては容赦なく破壊行動を行うが、生き物である馬に対する直接的な危害を加えることは稀である。潜在的暴徒であるデモ隊に対しては騎馬警官が集結して堵列を作ることで抑止力にもなり、デモ隊に対する突撃は騎兵の衝撃力に類似した効果をもたらし、デモ隊を押し戻したり分散させるなどの制御が可能となる。 この高い柔軟性と人々に対する心理的効果は、車両にはないものと言えるだろう。欧米各国警察の騎馬警官は、群衆整理のための技術訓練を受けていることがあり、技能を有する騎馬警官は人が直接行うよりも遥かに少ない手間で群衆整理を行う能力がある。 現代的な機動隊が行うような群衆排除の手法が確立していなかった時代では、それに代わる非致死的実力行使の手段であった。大正時代の第一次護憲運動では、憲兵隊が騎馬で群衆を蹂躙し鎮圧した。
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