署名国の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 20:15 UTC 版)
「日本における国際的な子の連れ去り」の記事における「署名国の動向」の解説
2009年当時、G8メンバーのうち日本とロシアだけがハーグ条約未加盟国であった。82の署名国の大半は共同親権がすでに導入されているヨーロッパ、北米、南米、オーストラリアの先進国だった。条約は遡及的ではないため、日本のハーグ条約署名後も、署名時点で進行中の事件は解決できず、日本の家族法の下で面会交流の審判による救済が求められていた。同条約は、批准後に拉致された子どもの返還以外にも第四章において接触、すなわち面会交流の実施に関する項目を含んでおり、その第21条第一項には「接触の権利の内容を定め、又はその効果的な行使を確保するように取り計らうことを求める申請は、締約国の中央当局に対して、子の返還を求める申請と同様の方法によって行うこと ができる。」第二項には「中央当局は、接触の権利が平穏に享受されること及び接触の権利の行使に当たり従うべき条件が満たされることを促進するため、第七条に定める協力の義務を負う。中央当局は、接触の権利の行使に対するあらゆる障害を可能な限り除去するための措置をとる。」と明記されている。これは、日本の民法において歴史的に面会交流が重視されていない事とはきわめて対照的である。 ハーグ条約において、拉致された子どもたちは、拉致前に「本来居住していた家」に戻されることになっている。子の拉致を重罪と規定している国に対しては、インターポールは監護親を拉致犯として通知することができ、拉致親は他国滞在中に逮捕される可能性もある。条約は、当事国の家庭裁判所の判決を他の国が認めることを必要とせず、署名国が拉致された児童の所在を知覚した場合には、速やかに本来の居住地に戻すことを要求している。日本人親族による子どもの連れ去りや連れ戻しは、事実上保護者による犯罪とみなされる。日本の裁判所はこれまで子どもの親権者決定に際して「現状維持」を重視してきたが、条約発効後は、これまでより強い強制力の発動力が必要とされている。しかしながら、ハーグ条約発効後も、日本の裁判所の判決により国際的な子の連れ去り事件が解決する事例はほとんどない。
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