緋地羅紗合羽
主名称: | 緋地羅紗合羽 |
指定番号: | 2564 |
枝番: | 01 |
指定年月日: | 1996.06.27(平成8.06.27) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | |
員数: | 1領 |
時代区分: | 桃山 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 白地天鵞絨陣羽織は毛足の長い白地天鵞絨単【ひとえ】仕立て。形状は羽織形で、身幅・襟幅とも広く、袖は小袖形で袂【たもと】を丸く仕立てている。裏地の縫い代には木綿斜縞の布を当てて縫い留めている。 緋地羅紗合羽は緋羅紗単仕立てで、袖無しの短衣【みじかぎぬ】の本体に釦【ぼたん】留めによって着脱可能な角袖と裾裂が付いた羽織形である。胸前には左右とも中に円形の孔を開けた瓢箪【ひようたん】形の釦留めの引合緒が付けられている。本体の袖ぐりおよび裾周りの裏には数か所に受け緒が縫い付けられており、左右二枚の袖・裾の端には受け緒に対応する数の水牛角製釦が縫い付けられている。袖・襟・身頃・裾の縁は金糸を撚った金モールで縁取りされている。 白地天鵞絨陣羽織の生地は中国製と考えられ、また縫い目に木綿製の細い斜縞文の布を付けるなど趣向が凝らされており、形態的には真田幸村所用の小紋地桐紋付胴服【こもんじきりもんつきどうふく】(重要文化財長野県上田市 桃山時代)や徳川家康所用の小文地葵紋付胴服【こもんじあおいもんつきどうふく】(重要文化財 日光東照宮 桃山時代)に近似し、桃山時代の特色を示している。 緋地羅紗合羽の生地は猩々緋【しようじようひ】とも呼ばれる赤色の羅紗で、袖や裾部分が釦により取り外し自在となっている奇抜な趣向で、釦や金モールにはヨーロッパ服飾の影響が色濃く反映している。また、胸前の瓢箪形の釦留引合緒は、豊臣秀吉下賜と伝える華文刺縫陣羽織【かもんさしぬいじんばおり】(重要文化財福岡県嘉穂町 桃山時代)に近似し、時代性を示している。 近世初期には諸外国から舶載された珍しい生地を使用した服飾類が武将の間で好まれたが、本件もその一例であり、当時の異国趣味を如実に示す服飾品の優品として貴重である。 |
重要文化財のほかの用語一覧
工芸品: | 綾地締切蝶牡丹文片身替小袖 綾張竹華籠 綾杉獅子牡丹蒔絵婚礼調度 緋地羅紗合羽 緋地羅紗違鎌文陣羽織 緋威五十二間四方白星兜 緋氈 |
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