絶縁材料において
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 15:47 UTC 版)
「リヒテンベルク図形」の記事における「絶縁材料において」の解説
今日ではリヒテンベルク図形はアクリル(ポリメチルメタクリル酸やPMMA)やガラスなどの固体絶縁材領内に線形電子ビーム加速器(もしくは粒子加速器の一種であるLinac)から高速電子ビームを注入することによっても作ることができる。Linac内部では電子が集束され加速されて高速粒子のビームを形成する。加速器から出てくる電子は最大25MeVのエネルギーを持ち、光速(相対論的速度)に近い速度(95 - 99+ パーセント)で動いている。 電子ビームが厚いアクリル試料に向けられると、電子はアクリル表面を簡単に貫通し、プラスチック内部の分子と衝突するにつれ急速に減速し最終的に試料の内側奥にとどまる。アクリルは優れた電気絶縁体であるため、これらの電子は試料内に一時的に捉えられ負電荷が過剰な平面を形成する。照射を続けると閉じ込められている電荷の量が増え、試料内部の実効電圧が数百ボルトにまで達する。電気的応力がプラスチックの絶縁耐力を超えると、絶縁破壊と呼ばれる過程を経て一部分が突如導電性を持つ。 絶縁破壊の間、分岐の木やシダ様の伝導性チャネルが急速に形成され、プラスチックを通り伝播し、閉じ込められていた電荷が小さな雷のような閃光を伴って突入する。帯電した試料の破壊はプラスチックに先のとがった導電性の物体を当て、過剰な電圧応力の点を生じさせることにより手動で引き起こすこともできる。放電中に強力な電気火花により何千もの分岐した割れ目の鎖が残され、試料内部に恒久的なリヒテンベルク図形が形成される。試料内部の電荷は負であるが、放電は試料の正電荷を帯びた外側の表面から始まるため結果として正のリヒテンベルク図形が形成される。これらは電子ツリー、ビームツリー、雷ツリーとも呼ばれる。 電子がアクリルの中で急速に減速するにつれて強力なX線も発生させる。残留電子とX線はソラリゼーションと呼ばれる過程で欠陥(色中心)を導入することによりアクリルを暗くする。ソラリゼーションにより初めアクリル試験片はライムグリーンになり、試験片が放電された後は琥珀色に変わる。色は普通、時間とともに褪せ、酸素と結合させるという穏やかな加熱はこの褪色過程を促進する。
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