級数の収束性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 01:28 UTC 版)
自然数によって項が添字づけられている場合には絶対収束と条件収束との2つの収束性の概念を定義することができる。各項が絶対値(ノルム)の定義された体系に属する級数 ∑an は、有限個の項の絶対値を足して得られる正数列が有界である場合、 ∑ i = 1 n | a i | < ∃ M ( ∀ n ) {\displaystyle \sum _{i=1}^{n}|a_{i}|<{}^{\exists }M\quad ({}^{\forall }n)} その級数は絶対収束 (英: en:absolute convergence) していると言われる。最初の有限個の項の絶対値をそれぞれ足して得られる数の列がコーシー列になっているようなとき、およびそのときに限り絶対収束が成り立っている。 最初の有限個の項を足して得られる部分和の列が収束しているような級数 ∑an は条件収束 (英: en:conditional convergence) あるいは単に収束していると言われる。 s n = ∑ i = 1 n a i → ∃ s ( n → ∞ ) {\displaystyle s_{n}=\sum _{i=1}^{n}a_{i}\to {}^{\exists }s\quad (n\rightarrow \infty )} 絶対収束している級数は条件収束している。しばしば「絶対収束でない収束」の意味で単に「条件収束」と呼ぶことがある。条件収束級数の和の値は一般に数列の項の並びに依存して決まる。数列 {an} の項を任意に並べ替えてできる数列 {aσ(n)} の和が、置換 σ の取り方に依らずもとの数列の和に等しいとき、しばしば級数 ∑an は無条件収束 (英: en:unconditional convergence) しているといわれる。絶対収束級数は無条件収束する。無条件収束でない(実数項の)収束級数は、適当な置換を選んで並べ替えることにより、任意の(実数)値に収束または発散させることができる。 整数の集合など、整列可算集合ではない添字集合 I によって項が数え上げられた級数 ∑ i ∈ I a i {\displaystyle \textstyle \sum \limits _{i\in I}a_{i}} に関しても以下のように収束性の概念を定めることができる。添字集合の有限部分集合のなす直系について、対応する項の和が収束 i.e. lim → F ∑ F ⊂ I : | F | < ∞ ; i ∈ F a i = ∃ s {\displaystyle \varinjlim _{F}\sum _{F\subset I:|F|<\infty ; \atop i\in F}a_{i}={}^{\exists }s} しているとき、級数 ∑ i ∈ I a i {\displaystyle \textstyle \sum \limits _{i\in I}a_{i}} は条件収束しているといい、各項の絶対値を考えられて ∑ F ⊂ I : | F | < ∞ ; i ∈ F | a i | < ∞ {\displaystyle \sum _{F\subset I:|F|<\infty ; \atop i\in F}|a_{i}|<\infty } となっているとき ∑ i ∈ I a i {\displaystyle \textstyle \sum \limits _{i\in I}a_{i}} は絶対収束していると言われる。
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