ローラン級数の収束性とは? わかりやすく解説

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ローラン級数の収束性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 21:14 UTC 版)

ローラン級数」の記事における「ローラン級数の収束性」の解説

複素係数ローラン級数複素解析における、殊に特異点周りでの関数振る舞い調べ重要な道具である。 e−1/x²(黒)およびその近似式 : ∑ j = 0 n ( − 1 ) j x2 j j ! {\displaystyle \sum _{j=0}^{n}(-1)^{j}\,{x^{-2j} \over j!}} における n を 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 および 50 とするのに応じた式をそれぞれ対応する色を用いて示してある。負冪の項の増加につれもとの関数近づく。 n → ∞ とすれば特異点である x = 0 を除く各点近似されていく様子分かるだろう。 例えば、関数 f(x) = e−1/x² を考える。ただし、f(0) = 0 と置く。実関数としては、これは各点無限回微分可能である。一方複素関数としてはこれは点 x = 0 において微分可能ではない。 指数関数テーラー展開に −1/x2 を代入することにより、得られるローラン級数収束すること、およびそのローラン級数特異点である x = 0 を除く各複素数点 x において f(x)一致することなどが確かめられる。 さらに一般にローラン級数アニュラス定義され正則関数表示するのに用いられる。これは円板 (disk) 上定義され正則関数冪級数表されるのと同様である。さて、 ∑ n = − ∞ ∞ a n ( z − c ) n {\displaystyle \sum _{n=-\infty }^{\infty }a_{n}(z-c)^{n}} を与えられローラン級数で、複素数係数 an を持ち中心 c も複素数とする。ここで、内半径r および外半径 R が一意的に存在して以下を満たす与えられローラン級数が開アニュラス A := {z | r < |z − c| < R} 上で収束する。ここでローラン級数収束するというのは、正冪部分冪級数と負冪部分級数(を w = 1 / (z − c) の冪級数見たもの)がともに収束することを意味する。さらにいえばこの収束性広義一様収束任意のコンパクト部分集合上で一様)である。また、収束ローラン級数はこの開アニュラス上で正則関数 f(z)定義する上記の開アニュラス A の外側では与えられローラン級数発散する。つまり、A の外部の点においては正冪部分か負冪部分冪級数発散するアニュラス A の境界上では、内側境界外側境界(というのは一般的な言い方はないけれども)のそれぞれで f(z)滑らかに繋がらない点が少なくも一つずつ存在する。 もちろん、r が 0 に取れることも R が無限大取れることもある。それとは反対に、必ずしも r < R である必要もない。これらの半径は r = limsup n → ∞ | a − n | 1 n {\displaystyle r=\limsup _{n\rightarrow \infty }|a_{-n}|^{1 \over n}} 1 R = limsup n → ∞ | a n | 1 n {\displaystyle {1 \over R}=\limsup _{n\rightarrow \infty }|a_{n}|^{1 \over n}} によって計算することができる。後者の上限が 0 であるときに R を無限大としてとる。 上記議論とは逆にアニュラス A = {z | r < |z − c| < R} と A 上定義され正則関数 f(z) から始めるなら、c を中心とし、少なくとも A 上で収束するローラン級数で f(z) を表すものが一意的に存在する。 例として、関数 f ( z ) = 1 ( z − 1 ) ( z − 2 i ) {\displaystyle f(z)={1 \over (z-1)(z-2i)}} を考える。この関数分母が 0 になるために関数が定義できない点として z = 1 と z = 2i を特異点としてもつ。z = 0 におけるテイラー級数半径 1 の円板上で収束するので、収束円の境界特異点である z = 1 に「ぶつかる」。一方z = 0 のまわりでのローラン展開というのは z の属す領域に応じて三種類可能である。 一つは |z| < 1; なる円板上で定義されるもので、これは上記テイラー級数と同じものである: f ( z ) = 1 + 2 i 5k = 0 ∞ ( 1 ( 2 i ) k + 1 − 1 ) z k {\displaystyle f(z)={\frac {1+2i}{5}}\sum _{k=0}^{\infty }\left({\frac {1}{(2i)^{k+1}}}-1\right)z^{k}} . 別な一つは 1 < |z| < 2 なる二つ特異点の間にあるアニュラス上で定義されるもので、以下のようになる: f ( z ) = 1 + 2 i 5 ( ∑ k = 1 ∞ 1 z k + ∑ k = 0 ∞ 1 ( 2 i ) k + 1 z k ) {\displaystyle f(z)={\frac {1+2i}{5}}\left(\sum _{k=1}^{\infty }{\frac {1}{z^{k}}}+\sum _{k=0}^{\infty }{\frac {1}{(2i)^{k+1}}}z^{k}\right)} . 最後一つは 2 < |z| < ∞, なる無限アニュラス上で定義されるのである: f ( z ) = 1 + 2 i 5 ∑ k = 1 ∞ 1 − ( 2 i ) k − 1 z k {\displaystyle f(z)={\frac {1+2i}{5}}\sum _{k=1}^{\infty }{\frac {1-(2i)^{k-1}}{z^{k}}}} . r = 0場合というのは、つまり一点 c においてのみ定義されないかも知れない正則関数 f(z)場合であるが、特に重要である。そのような関数ローラン展開における −1 番目の係数 a-1 は関数 f(z)特異点 c における(微分形式 f(z)dz の)留数呼ばれ留数定理における重要な役割演じる。 例えば、関数 f ( z ) = e z z + e 1 z {\displaystyle f(z)={e^{z} \over z}+e^{1 \over z}} を考える。この関数z = 0除いた各点正則である。中心 c = 0 に関するローラン展開決定するために、指数関数テイラー展開利用すると f ( z ) = ⋯ + ( 1 3 ! ) z − 3 + ( 1 2 ! ) z − 2 + 2 z − 1 + 2 + ( 1 2 ! ) z + ( 1 3 ! ) z 2 + ( 1 4 ! ) z 3 + ⋯ {\displaystyle f(z)=\cdots +\left({1 \over 3!}\right)z^{-3}+\left({1 \over 2!}\right)z^{-2}+2z^{-1}+2+\left({1 \over 2!}\right)z+\left({1 \over 3!}\right)z^{2}+\left({1 \over 4!}\right)z^{3}+\cdots } なる展開を得る。したがって留数が 2 であることが見てとれる。

※この「ローラン級数の収束性」の解説は、「ローラン級数」の解説の一部です。
「ローラン級数の収束性」を含む「ローラン級数」の記事については、「ローラン級数」の概要を参照ください。

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