精神病院(1908年10月-1909年5月)
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「エドヴァルド・ムンク」の記事における「精神病院(1908年10月-1909年5月)」の解説
1909年、ヤッペ・ニルセンの肖像画(左)と、作品の隣に立つムンク(右、当時45歳)。 ムンクは1908年10月、アルコール依存症を治すためコペンハーゲンのダニエル・ヤーコブソン教授の精神病院に自発的に入院した。ヤーコブソンはアルコール中毒による麻痺性痴呆と診断した。8か月の入院中、国立美術館(英語版)(現オスロ国立美術館)の館長であり旧友でもあるイェンス・ティースや、ヤッペ・ニルセンがムンクを見舞って彼を精神的に支えた。 同年秋にはノルウェー王国政府から聖オーラヴ勲章騎士章を与えられた。1909年春には、イェンゥ・ティースとヤッペ・ニルセンが協力して、ブロムクヴィスト画廊で油絵100点、版画200点の大ムンク展を開いた。ノルウェー国立美術館が油絵5点を買い上げ、ベルゲンの著名なコレクターであるラスムス・メイエルがムンクの作品を多量に購入したことで、ムンクに対するノルウェーでの評価は決定的になった。ただ、かつての師クリスチャン・クローグはムンクを誹謗する論陣を張ったが、今や世代交代を印象づけるだけであった。 同じ1909年には精神療法も兼ねて、詩文集『アルファとオメガ』を執筆した。これは妻のオメガに籠絡される夫アルファの寓話であり、女性たちに傷つけられた自らを浄化する意味があったと言われる。ムンクは「この連作を描いていると、奇妙に心が安らぐのを覚えた。まるであらゆる苦痛が身体から抜け出していくような気がする。」と書いている。同年、ムンクは健康と精神的落ち着きを取り戻して退院した。もっともそれと引換えのように、ムンクの作品は初期の緊張感を失い、生気のないものに変わっていったとも指摘されている。 『病院での自画像』1909年。油彩、キャンバス、100 × 110 cm。ベルゲン美術館。 『アルファとオメガ』表紙、1908年。
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