精神分析学における性的欲求
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 22:13 UTC 版)
19世紀末から20世紀初頭に精神分析をおこなった学者であるフロイト(1856年 - 1939年)が創始した精神分析学では「リビドー」(ラテン語) (libido) が「性的衝動を発動させる力」とする解釈を、当時心理学で使用されていた用語リビドーにあてた。フロイトは性欲が空腹や権力への意志に類似していると分析している。同派の性欲の研究について言えば、フロイトによる小児性欲のエッセイが著名である。フロイトは未発達の小児にも性欲があると考え、口唇期、肛門期、男根期(エディプス期)、性器期という段階に分類した。こうした性行動をともなわない性欲を充足させるか否かが後の人格形成に大きく関わると考えたフロイトは、こうした性欲の抑圧(欲求不満)をヒステリーの原因と想定した。またそうした性欲を根源的な性欲と名付けた。フロイトはこうして、人格形成を性欲に起因する欲求で説明しようと考えた。これを汎性欲論と呼ぶが、近年では多くの批判を受け、妥当性に欠けるとされている。 リビドーの考え方を前提とした場合、性欲そのものは非常に単純であり根源的な欲求である。ただしその性衝動をどう充足するかによって、性的指向は個々に変化する、と考える。フロイト的な解釈によれば、口唇期の欲求不満が固着した場合は、悲劇的で不信感に満ち、皮肉屋なパーソナリティが形成される可能性があるという、いささか「非科学的な結論」になってしまう。 一般に性的欲求が強まるのは、思春期以降と言われるが、個人差が大きい。性的好奇心は年齢を問わずにおこり、発現の仕方も多様である。 「子供の性」も参照 状況によっては、関係性への欲求や所有欲、共感欲といった別の欲求に置き換わる場合もある。無性愛(性的な欲求を一生自覚せずに過ごす)もまれに存在する。
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