粒子加速器中での 99mTc/99Mo 生成
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「テクネチウム99m」の記事における「粒子加速器中での 99mTc/99Mo 生成」の解説
99mTc の簡易製造法 1971年に医療用サイクロトロンで100Mo塊に22MeVの陽子を照射して99mTcを製造する可能性が示された。最近の99mTcの不足により、同位体濃縮された100Mo塊(99.5%以上)に陽子を照射し、100Mo(p、2n)99mTc反応を起こさせる事による“簡易”99mTc製造法への関心が再び高まった。カナダでは、99mTc製造の為にAdvanced Cyclotron Systems社が設計したサイクロトロンをアルバータ大学とシャーブルック大学で稼働させており、ブリティッシュコロンビア大学、TRIUMF(英語版)、サスカチュワン大学、レイクヘッド大学(英語版)でも計画されている。 サイクロトロンを用いた100Mo(p、2n)99mTc反応による99mTc生成の欠点は、基底状態の99Tcが大量に共生産される事である。この核種が優先的に成長するのは、基底状態に至る反応断面積の経路が大きい為であり、同じエネルギーでの準安定状態と比較して、断面積の最大値では約5倍にもなる。Mo塊の処理と99mTcの回収に要する時間に応じて、基底状態の99mTcの量は減少し続け、結果的に利用可能な99mTcの比活性が低下し、その後の標識化やイメージングに悪影響を及ぼす可能性がある。処理の合理化に役立つ液体金属モリブデン含有塊が提案されている。 99Mo の間接的製造法 他の粒子加速器を用いた同位体製造技術も研究されている。2000年代後半に99Moの供給が途絶えた事と、生産する原子炉の老朽化により、産業界は生産の代替方法を検討する必要に迫られた。 サイクロトロンまたは電子加速器を使用して、それぞれ(p、2n)または(γ、n)反応を介して100Moから99Moを製造する方法が更に研究されている。100Moの(n、2n)反応は、熱中性子を用いた98Moの(n、γ)反応よりも高エネルギー中性子に対する高い反応断面積を齎す。 特にこの方法は、D-Tや他の核融合に基づく反応、あるいは高エネルギーの核破砕反応やノックアウト反応を用いたものなど、高速中性子スペクトルを生成する加速器を必要とする。 これらの技術の欠点は、濃縮された100Mo塊を必要とする事であり、これは天然の同位体塊よりもかなり高価であり、一般的には材料のリサイクルが必要であり、これはコストが掛かり、時間が掛かり、大変な作業となる。
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