粒子径での分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:05 UTC 版)
大きさを示すマイクロメートル単位での値を付してPM10、PM2.5などが定義されている。学術文献では下付き添字でPM10、PM2.5のように書く。数字の意味について、普通、粒子径(空気動力学径、以下同)○○µm以下(WHOの定義では「○○µm未満」)の微粒子などと説明されるが、ある粒子径以下の微粒子を完全に捕集することは困難であるという測定技術の都合から、厳密には質量中央径 MMD または粒子数中央径 CMD が○○µm以下の微粒子をいう。例えばPM10は、粒子径10µmで50%の捕集効率(ろ過効率)をもつフィルターを通して採集された、粒子径の異なる微粒子のまとまりのことであり、サンプル空気の中の10µmの微粒子の半分が含まれている。また、PM10はPM2.5を含んでいる(含有率は、例えば北米では40-90%である。)環境基準値として用いられる濃度(単位:マイクログラム毎立方メートル µg/m³)は、こうして採集された粒子径の異なる微粒子のまとまりを計量した値である。 環境基準が設定され始めた当初は黒煙や総浮遊粒子状物質 (TSP) などの基準値が採用されていた。例えば、アメリカで1971年に設定された最初の環境基準ではTSPの基準値だけが設定されていた。しかし、TSPはほとんど人が吸入しない数十µmの大きな微粒子が含まれていたので、人が吸入するようなより小さな微粒子へと焦点を移し、PM10やPM2.5が新たな基準として採用されている。この点で日本では、1972年に設定された最初の環境基準がSPM(≒PM6.5 - 7.0)であり、当初から小さな微粒子を採用していたものの、PM2.5に関しては環境基準の設定が遅く、世界で採用され始めた1997年から12年経った2009年にようやく設定されている。
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